青学大・原監督 棄権覚悟で「神林を使いたい」…思いを変えさせた神林自身の言葉
「箱根駅伝・復路」(3日、神奈川県箱根町芦ノ湖駐車場~大手町)
青学大は神林勇太主将(4年)を負傷で欠いた中、復路優勝を果たす意地を見せ、往路12位から8つ順位を上げ、総合4位でフィニッシュした。原晋監督は神林について、当初はレースに強行起用することも考えていたというが、神林本人の言葉で思い直したことを明かした。
右臀部の疲労骨折がレース直前の12月28日に判明した。当初、「16日ぐらいに右足内転筋に痛みがあって、治療によってほぼ完治したんです」という状況だったが、1箇所、痛みがとれず、検査を受けたところ負傷が分かった。
原監督はチームミーティングでは「仮に品川の八ツ山橋で歩いて駄目になっても俺は神林を使いたい」と選手に打ち明けたという。神林がチームを背負い、まとめ、1年間務めてきたため「肉体的にも精神的にも彼のチームだった」という思いもあった。「仮に棄権してシードを逃しても彼を走らせたかった」とさえ考えていた。
だが、神林が「僕がいなくても総合優勝するチームだから。後輩たちを走らせてください」と原監督に申し出たという。「私個人のエゴでチームを沈没させるわけにはいかない」と思い直し、チーム全員で主将の穴を埋めることを確認した。
レースを終え、「総合優勝できなかったが、復路優勝できたのはチーム青山の絆大作戦、200%成功させたかったが、150%成功したと思う」と総括。神林を9区で給水係に送り出したことには、「彼はこれで引退なんですよ。箱根はもう走れない。私から、彼の役回りをどうするという時に1番テレビに映るだろうし、1番長い距離を走れる9区15キロ横浜前の給水ポイントに、とそれだけ学生にお願いした」と経緯を明かした。「まあ、30メートルだけの箱根駅伝だったけど、彼にもこれから人生苦しいことがあるだろうけど、これ以上苦しいことはないと思うので、社長を目指して頑張って欲しい」。取材応対中、原監督は涙ぐみながら神林についての思いを吐き出していた。