コロナ禍の大会開催 主催者の葛藤 苦渋の棄権指示「私が選手なら協会を恨む」でも…
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、年末年始にかけて各スポーツのビッグイベントが開催されている。厳格なコロナ対策を行う中でも、様々な問題が発生しており、主催関係団体は難しい対応を迫られている。
12月23日~29日まで開催されたバスケットボールの全国高校選手権(ウインターカップ)では、男女で計7チームが欠場する事態となった。そのうちコロナの陽性者が出たのが4チーム、試合前の検温で選手1人に発熱が確認され、感染疑いで欠場となったのが2チーム、そして大会で試合後に対戦校の関係者に陽性者が出たことで、濃厚接触者となる可能性が出たため、日本協会が棄権を指示したのが1チームだった。
ただ、感染疑いの2チームは後のPCR検査で陰性、濃厚接触者となる可能性があった1チームは、その後、濃厚接触者には当たらないことが確認された。日本バスケットボール協会の三屋裕子会長は、自身のアスリートとしての経験を踏まえ「本当に申し訳ないことをした。私が選手の立場なら協会を恨んだと思うし、それが当然」と謝罪した。ただ、検査や濃厚接触者に当たるかどうかの保健所の判断には時間が掛かるためのギリギリの判断だった。「他のどの大会よりも厳しいガイドラインだった」とした上で「そこを見逃すことでクラスターが発生した事例をこれまで見てきた。大会を無事に終えるための、辛い厳しい決断だった。(欠場チームには)何らかのフォローアップは考えています」と、振り返った。
年明けの1月2、3日に開催された箱根駅伝では、競技場ではなく、公道を使う競技ゆえの難しさがあった。課題だったのは、毎年100万人以上となる沿道観戦者。主催の関東学連は「応援したいから、応援にいかない。」を掲げ、観戦自粛を求めた。ただ、例年よりも格段に少ないものの、スタート、ゴール地点の規制可能なエリアを除けば、沿道には多くの人の姿があった。インターネット上では沿道応援者への厳しい声が上がった。特に復路では中継する日本テレビも赤いテロップで頻繁に注意を呼びかけるようになった。
関東学連がレース後に発表した沿道観戦者数は2日間で18万人。前年の121万人から85%減となった。関東学連の日隅広至副会長は「見た目では非常に少なかった。テレビで見ると重なって見えたが、横からみると間が空いていた。いつも混雑する日本橋などでは、ビックリするほどいなかった」と強調したが、苦情もあったという。
政府は7日にも1都3県に緊急事態宣言を出す方針で、全国大会を開催中の高校サッカーでは準決勝、決勝を急きょ無観客にすることを決めた。いまだ猛威を振るう“見えぬ敵”を前に、関係者の苦悩は続く。