異常事態の大相撲 尾車事業部長「休んでいる力士の分もいい相撲を」
「大相撲初場所」(10日初日、両国国技館)
東京開催場所の責任者を務める尾車事業部長(元大関琴風)が初日を翌日に控えた9日、報道陣の電話取材に応じた。全協会員のPCR検査で新たに2部屋、力士5人の陽性が発覚。荒汐、宮城野に加え九重、友綱部屋の全力士が休場。戦後最多16人の関取が初日から不在で、力士は計65人が休場となった。
異常事態とはなったが、初日を前に不安を払しょくして臨める。さらに感染者がいれば中止の選択肢も考えていた。尾車部長は「結果を受けて(感染者が)もっと多い時は、きのうの理事会で理事長が結果はあしたになるので開催の中止も含めて(八角)理事長に任せてもらっていいですか、ということで理事会で了承を得ていた。だからもっと感染が広がっていれば開催中止ということもありえた」と明かした。
首都圏では感染が爆発的に増えており、15日間、場所も気は抜けない。場所中に感染者が出ても即、中止とはならないが、専門家の指示を仰ぎ判断する。万が一、クラスターなどが起きた場合は打ち切りの可能性もある。同部長は「理事長の頭の中にはあると思う」と、最悪の事態は想定している。
大阪でも感染は拡大し、3月の春場所(3月14日初日、エディオンアリーナ大阪)も厳しさは増す。1年ぶりの地方場所開催を理事会で決定しているが、状況次第では大阪での開催も不透明だ。
「理事会で3月は大阪で開催することが決定したけど、これはコロナの状況によるのが大前提。日程的にどうなのかなというのはある。これから何回も協議して、現地のことも確かめて判断していかないといけないと思っている」と同部長。初場所後、1月28日に予定する理事会で判断する意向を示した。
緊急事態宣言の中、自宅で自粛生活を送る相撲ファンに「相撲を見ていただいて元気を出してもらう、そういうことで意義はある」と力を込めた。
綱とりの貴景勝(24)=常盤山=ら力士は熱戦で盛り上げるのみ。「本当に、コロナの中で制約された生活の中で、力士は精いっぱい、あしたの初日に向けて稽古してきたと思う。残念ながら出られない力士の分までいい相撲を取って、相撲ファンの皆さんに元気を届けてくれたらいいと思う。白鵬は出場ができない、鶴竜が休場ということはありますが、3大関、幕内の上位の方は元気で出場できる。休んでいる力士の分もいい相撲を見せてもらいたいと思う」と、話した。