初場所、史上最多の関取16人全休 65人休場…十両わずか9取組の“虫食い”状態

 「大相撲初場所」(10日初日、両国国技館)

 日本相撲協会は9日、九重部屋の幕内千代翔馬、十両千代鳳、幕下以下2人、友綱部屋の幕下以下1人の5人が新たに新型コロナウイルスに感染したと発表した。すでに発生していた荒汐、宮城野を含めた4部屋で関取15人を含む力士計65人が、コロナの影響で10日の初日からの休場が決定。横綱鶴竜を加えた関取16人の全休は史上最多となった。番付は“虫食い”状態で取組も激減。感染者が出れば途中打ち切りも視野に、緊急事態宣言下の新年場所が幕を開ける。

 こんな“ソーシャルディスタンス”取組表は見たことがない。通常初日は午前8時30分頃に序ノ口から取組が始まるが、9時50分と1時間20分も遅い。関取16人全休は相撲界史上ワースト。番付は幕内7人、十両9人のいない“虫食い”状態。十両は通常14取組だが、わずか9取組しかない。

 緊急事態宣言下の前代未聞の本場所。身を切り、血を流しても開催にこぎつけた形だ。

 8日に全協会員878人がPCR検査を受け、この日、結果が判明。九重部屋で4人、友綱部屋で1人の感染が判明した。年末年始に荒汐部屋で幕内若隆景、十両若元春ら全力士10人が集団感染。宮城野部屋でも横綱白鵬の感染が5日に判明。この4部屋の力士を濃厚接触者と認定し、65人全員が感染拡大防止のため、初場所に出場できなくなった。

 芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「お客さんの安心、安全をはかるために検査をした。各部屋同士の接触はない。その部屋で抑えられた。見切り発車で開催していたら場所中にクラスターが発生しかねない状況。未然に検査をしてこの結果が出たのは、いい判断」と不安を払しょくしたことを評価した。

 角界に広がるウイルスの脅威。65人は限界値だっただろう。東京開催場所の責任者を務める尾車事業部長(元大関琴風)は8日の理事会で感染者多数の場合、八角理事長(元横綱北勝海)に場所の開催可否を一任されていたことを明かした。「開催の中止も含めて理事長に任せてもらっていいですか、ということで理事会で了承を得ていた」と中止の選択肢も視野にあった。

 都内では3日連続で感染者2000人超。万が一、場所中では初の感染者を出せば、途中打ち切りもある。即、中止とはならないが、専門家の指示を仰ぎ判断する。同部長は「理事長の頭の中にはあると思う」と、最悪の事態は想定している。

 政府指針に沿い、観客5000人に上限を変更し厳戒態勢で感染予防も徹底。逆風の中だからこその神事。力人(ちからびと)が土俵から勇気を届ける。

 「相撲を見ていただいて元気を出してもらう、そういうことで意義はある。出られない力士の分までいい相撲を取って、相撲ファンの皆さんに元気を届けてくれたらいい」と尾車部長。嵐の予感漂う新年場所が始まる。

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