B1広島が最下位からの逆襲狙う 堀田監督が大幅な戦術変更を決断
今季からバスケットボールB1リーグに昇格した広島ドラゴンフライズが大苦戦している。ここまで27試合を終えて4勝23敗で西地区の最下位。現在14連敗中で11月中旬から勝ち星に見放されている。リーグ戦は約3週間の中断期間を経て、今月23日から後半戦が始まる。堀田剛司監督(42)は戦い方を前半戦から大きく変えて逆襲に転じる構えだ。
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Bリーグ発足5年目にして初めて挑んだB1での戦いは想定を超える厳しいものとなった。昨年10月に開幕。2戦目の大阪戦を93-84で制してB1初勝利を挙げたが、その後は苦戦が続き、11月11日の京都戦で4勝目を挙げた後は長いトンネルにはまり込んだ。
現在14連敗中。「自分たちのポテンシャルを考えると、もう少し戦えると思っていたが、同じような負け方が続いている」と朝山正悟主将(39)はもどかしさを隠せない。ターンオーバーやオフェンスリバウンドを奪われての失点などミスも目立ち、失点数は20チーム最多。「みんな自分で何とかしようとしすぎている。(コート上の)5人が共通認識のもとでバスケットができていない」と低迷の原因を分析する。
後半戦に向けて堀田監督は思い切った戦術変更に踏み切る。守備では前線からプレッシャーをかけて相手のターンオーバーを増やすことを目指す。攻撃ではフォーメーションの約半分を入れ替え、新たな得点パターンを構築する。選手個々に頼るのではなく、しっかりとパスを回し、チームとして攻撃を組み立てていくことがベースになる。「ファンの皆さんが見ても“変わった”と分かるぐらいに思い切って変えていきたい」と強調した。
指揮官自身にも前半戦の戦い方について大きな反省がある。「選手の意見を聞きすぎて、そっちを優先した結果、チームとしてどういうバスケットをしていくのかということがあいまいになってしまった。後半戦は私のやりたいバスケットをしていく。自分の考えをブレずに選手に伝えていきたい」と強い決意で指揮を執る。
キーマンには日本代表候補にも入ったことがある大型新人のアイザイア・マーフィー(22)を指名。「伸び代が大きい選手なので、彼のパフォーマンをしっかりと引き出してチームに浸透させることができれば、勝ち星につながっていく」と期待を寄せた。
中断期間中は選手間でもミーティングを行い、意見をぶつけ合った。朝山主将は「なかなかチームが勝てない中でも、みんなどこか遠慮して“いい子ちゃん”になっていた。もっと練習の時から話し合って、時には言い合いになることがあってもいいんじゃないか」と話す。闘争心をむき出しにした“戦う集団”へ生まれ変わることが求められる。
前半戦は東地区の強豪チームとの対戦が多かったことも負けが込んだ要因となった。しかし、後半戦は西地区のチームとの対戦がメインとなるため、勝ち星を積み上げていけば順位を上げていくことも可能だ。指揮官は残り33試合を「半分ぐらいは勝ちたい」と青写真を描く。
今季はコロナ禍によりB2降格チームがないことも広島にとっては幸運だ。「来季につなげるためにもこのままでは終われない。落ちるところまで落ちたので、あとは上を向いて戦っていくだけ」と堀田監督。後半戦最初の相手は前回の対戦で2連勝している三遠。まずは連敗をストップし、最下位から脱出することが逆襲へ向けての一歩となる。(デイリースポーツ・工藤直樹)