池江璃花子 夢の東京五輪へ扉見えた!代表選考会参加標準記録突破の4位
「競泳・北島康介杯」(23日、東京辰巳国際水泳場)
女子100メートル自由形決勝で、白血病からの完全復活を目指す池江璃花子(20)=ルネサンス=は2021年初レースを55秒35の4位で終えた。個人戦では復帰後初の100メートル自由形ながら、予選で56秒16をマークし、東京五輪の代表選考会を兼ねた4月の日本選手権(東京アクアティクスセンター)の参加標準記録(56秒53)を突破。決勝ではさらに0秒81上回り、大舞台への出場へ可能性をつないだ。54秒48を記録した酒井夏海(19)=スウィン美園=が優勝した。
一度は諦めた。そしてまた夢に見た。憧れの舞台、東京五輪。その入り口に立つところまで池江が戻ってきた。代表選考会の参加標準記録を突破。「すごくよかった」と笑みを浮かべた一方、4位という順位を「すごく悔しかった」と語るその表情は、トップスイマーそのものだった。
スタートでまずまずの飛び出しを見せると、伸びやかな泳ぎで加速。「速くもなく遅くもなく。復帰レースにしてはまずまずな記録」と振り返ったが「焦りや緊張、レースの泳ぎ方が思い出せてない」と課題も挙げた。
選考会については今後方針を固めるが「ほぼ出る、で」と池江。東京五輪へ、まずは日本選手権でリレーの派遣標準記録「54秒42」の突破を目指すことになる。まだ0秒93の開きがあるものの、練習で55秒台が出ていると言い「正直、54いってもよかった」。レースの度にレベルアップを遂げているだけに、不可能な数字ではなさそうだ。
とはいえ「今日泳いで、チャンスあるかな?って自分の中で疑問が生まれた」とも言う。復帰後は水泳を楽しむ心を大切にしてきたが「勝負の世界は甘くないと痛感したし、勝ち負けにこだわらないといけない立場になる。東京五輪を目指すっていうわけではなく、隣で泳ぐチームメートに勝つとか、細かいところを集中してやって、その先に結果がついてくる」。まずは覚悟が必要。競技者としての心得を持ち直した瞬間だった。
「周りの選手に速いと言われたけど、自分では果たして速かったのか分からない。もう少し自信を持って『速かったでしょ』って言えるレースをこれからできたら」。池江自身が胸を張れる姿で4月を迎えられるなら、きっと夢は現実となる。