森会長 五輪開催「米国次第」発言の高橋理事にクギ「あなたは話題の多い人だから慎重に」
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が28日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)と電話会談を行い、その後取材に応じた。
広告代理店大手の電通の元専務で、大会組織委員会の理事を務める高橋治之氏が、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」に開催可否は「米国次第」とした上で同国のバイデン大統領の意向に懸かっているという見解を示した、と報じられた件については、「会談の中で具体的な名前はなしに、『色んな雑音が入るものだ』とバッハさんはおっしゃられていた。お互いに五輪は成功すればいいという中での発言だろうが、誤解を生むような言葉は慎まなければいけない。日本側にそういう意見があったとしたら、大変申し訳ない。お詫びをすると言っておきました」と、明かした。
また、高橋理事から釈明があったことも明かし、「『かなり間違っていて、ああいう流れで言ったんじゃない』と。とにかくあなたは話題の多い人だから、大事な時ですから、慎重に事に当たってほしいと申し上げておいた」と、クギを刺したという。
会談では、新型コロナウイルスの影響で開催が不透明な状況となっている東京大会について、改めて今夏の開催を確認した。また、来月にもバッハ会長、政府の橋本聖子五輪相、東京都の小池都知事、組織委の森会長による四者トップ会談を行い、準備状況を確認することを明かした。「お互いに確認して、次のステップに進もうということ」と、説明した。
27日に行われたIOC理事会で、バッハ会長は東京五輪について「完全にコミットしている」と改めて今夏の開催を強調。中止や再延期論について「これらの憶測はアスリートを傷つけている」と糾弾し、「私たちは7月23日に開幕することに焦点を合わせている。どのように大会を開催するかについて取り組んでいる」と、語っていた。
各世論調査で再延期、中止を合わせて80%と今夏の開催に否定的な日本国内の世論については「封鎖状態の中で家族や友人に会えない状況で、五輪に懸念を抱くことは理解できる」と理解を示した上で「我々はその状況を超えた視点でみている」とし、「すべての人に辛抱と理解を求めなければならない」と、呼びかけ、コロナ禍の大会開催は無責任では?という質問もとんだが「無責任ではない。大会が安全じゃなければ、行わない」と、語っていた。