JOC山下会長が森会長の続投要望 発言内容に違和感も「最後まで全うして」
日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)が5日、都内で取材に応じた。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」などと女性蔑視とも取れる発言をしたことについて「五輪・パラリンピック精神に反する不適切な発言だった」と初めて見解を示した。ただ、森氏が発言を撤回していることもあり「最後まで全うしていただきたい」と続投を容認した。
森氏の舌禍問題で、JOCの山下会長がようやく口を開いた。そもそも、問題の「女性-」発言は3日のJOCの評議員会で発されたもの。当時同席していた山下会長は「『んっ?』と思うところは正直あった」と発言内容に違和感を覚えたことを告白しつつも、「指摘する機を逸してしまった」と、ばつが悪そうに弁明した。
名誉委員として来場した森氏が議事閉会後に約40分間あいさつする中で、女性蔑視発言があったのは中盤。話題が転換していったこともあり、その場でいさめることはできなかったという。また、問題発言の際に会場で笑い声が上がったという指摘もあるが、「笑いが起きたのは女性差別のところではないと、(職員が)細かく調べたという報告を聞いてます」と否定した。
森氏の問題発言が世界中に発信され、会議を主催したJOCにも疑念の目が向けられたが、公式見解として「五輪・パラリンピック精神に反する不適切な発言だった」と断じた。ガバナンスコードに沿った規約改定で、JOCが女性理事の全体40%以上の登用を主導する中で水を差された形になったが、山下会長は「多様性や、差別のない共生社会。目指してるものをさらに進めていくという認識」と基本姿勢を強調した。
発言については問題視しつつも、森氏が前日4日の会見で謝罪し撤回していることから、「本人が謝罪して撤回している。色んな意見があることはわかっているが、最後まで全うしていただきたい」と組織委会長職の辞任までは求めなかった。ただ、今夏の東京五輪開催に懐疑的な声が支配的な中、不用意な舌禍がスポーツ界にとってさらに重大なダメージとなっている。