池江、復帰後初の表彰台2位 20年8月以降最速24秒91「自分の中で自己ベスト」
「競泳・ジャパンオープン」(7日、東京アクアティクスセンター)
女子50メートル自由形が行われ、白血病からの完全復活を目指す競泳女子の池江璃花子(20)=ルネサンス=は昨年8月の復帰後最速となる24秒91をマークし、トップ選手が集結した中で2位に入った。復帰後に表彰台に立ったのは初めてで、この種目では復帰からわずか半年で1秒41もタイムを縮めた。優勝は24秒75の大本里佳(ANAイトマン)だった。
まだ細いその体が、日に日にたくましさを増す。泳ぐたびに速く、そして強くなる。自信の宿った池江の表情に“悲劇のヒロイン”風情はみじんもない。闘志を燃やし、スタート台に立った。
目標タイムを大きく上回る25秒06で予選1位通過を果たすと「うれしかった」と涙。決勝では、伸びやかな泳ぎで2着でフィニッシュ。隣のレーンで泳いだ大本の存在を意識し「体が固まってしまった」というが「自分の成長をすごく感じられた」。国内トップ選手に囲まれながら、堂々の表彰台だ。
2020年10月の完成披露式典で泳いで以来の五輪会場。「そこまで東京五輪を意識しているわけではない」としながらも「すごく泳ぎやすいプールだった。記録も、自分の中では自己ベストと捉えているので。いい経験ができた」と笑った。
1月末の北島康介杯で、スタートでの出遅れを痛感した。重い方が飛び込みの速度は増すだけに「体重を戻すことにフォーカスしている」と池江。「みんなから離されないことを意識すれば、後半の伸びは周りの選手に引けを取らない」と勝機を探っている。
闘病中、体重はマックスよりも15キロほど落ちた。食も細くなったが、1日3食をむらなく取ること、バランスよく食べること。完食を心がけること。当たり前だが、何事にも継続は力なりだ。西崎コーチに師事し始めた昨年春ごろより体重は約6キロ増加したという。
白血病の診断を受けたのが2019年2月8日。あれから2年がたった。「まだ泳ぎ始めて1年たっていない状況の中、自己ベスト(日本記録の24秒21)からコンマ何秒という世界に戻って来られたのはものすごくうれしいこと。過去は置いておいて、これからさらに上を行けるようにしたい」。そして自信がつけば、欲も出る。
「いい結果ではあったけど、2番には変わりない。次は1番を狙っていきたい」
これまでたくさんのメダルを手にしてきたが、今回手にした銀メダルは、そのどれとも違った意味を持つ。かつての自分に戻るでも、近づくでもない。再出発と進化の証しだ。