渡部暁斗、銅メダル 日本勢初の世界選手権個人種目3大会連続表彰台
「ノルディックスキー・世界選手権」(4日、オーベルストドルフ)
複合男子個人ラージヒルで渡部暁斗(32)=北野建設=が銅メダルを獲得し、日本勢で初めて世界選手権の個人種目で3大会連続の表彰台に立った。前半飛躍(ヒルサイズ=HS137メートル)は137・5メートルの2位。トップと22秒差で迎えた後半距離(10キロ)は終盤まで2位争いを演じたが、力尽きた。ヨハネス・ランパルター(19)=オーストリア=が前半で首位に立って逃げ切り初優勝。山本涼太(長野日野自動車)は10位、永井秀昭(岐阜日野自動車)は21位、渡部善斗(北野建設)は23位だった。
理想的な展開に持ち込めなかった。後半距離開始時点で、優勝争いは現実的に上位3人に絞られていた。3キロ付近でランパルターを追う2位渡部暁に、3位リーベルが追い付いてきた。しかし、後ろについたままで前に出ない。渡部暁は「出ようと思えば出られたはず。銀メダル争いにスイッチしたな」と悟った。
距離は「銀はない。金か銅」との覚悟だった。走力で上回るリーベルに引っ張ってもらいながら先頭を吸収できれば最高で「その期待もあったが、そううまくはいかない」。前半飛躍で与えたリードを挽回するのは難しかった。首位との差を縮められず、2位争いにも屈して悔しい3位にとどまった。
個人種目で世界選手権3大会連続表彰台は荻原健司らも成し遂げていない偉業。「取りたかった色ではないが、形に残るものを日本に持ち帰れるのは良しとする」と自らに言い聞かせた。もちろん金メダルを渇望する気持ちは変わらない。「取るとしたら、次の五輪。そこで僕が取ったら大団円」。勝負師の顔つきで、早くも来年の祭典をにらんだ。