小平奈緒、苦難のシーズンV締め 聖火へ思いつなぐ「皆さんの心にともせる火があれば」
「スピードスケート・長根ファイナル」(7日、YSアリーナ八戸)
女子1000メートルは、18年平昌五輪同種目銀メダルで、500メートル金メダリストの小平奈緒(34)=相沢病院=が1分15秒50で制した。コロナ禍で国際大会に参戦できない中、試行錯誤を繰り返した今季を総括した。また、長野県内を走行予定の東京五輪聖火ランナーについて、自身の1998年長野五輪の記憶も踏まえ「少しでも皆さんの心にともせる火があれば」と前向きに話した。
長くも短くもあった“苦難”のシーズンを小平が締めくくった。コロナ禍で先が見えない状況下。国際大会の参戦もならなかったが「どんな人にとっても難しいシーズンだけど、自分の軸を持ちながら目の前の課題と向き合ってこられた」。今季最終戦となる1000メートルを終え、穏やかな表情で振り返った。
今季は約5年ぶりに500メートルの国内大会で敗戦。34歳という年齢も重なり、衰えを心配する声もあった。その中、違和感を抱いていた左股関節の動きを見直すため、シーズン中には異例ながら、氷を離れる決断をした。
北京五輪を1年後に控える状況で賭けとも言える挑戦。それでも「自分で決めることが結局正解になると思う」と信念を通した。結果的に「自分の変化に耳を傾け修正を重ねられた」。多くの経験値と達観した精神力を備える小平だからこそ、シーズンをより実りあるものへと導けた。
4月2日には長野県内で聖火リレーの走者を務める予定。「私自身、地元長野で行われた五輪に夢を持たせていただいた。五輪は素晴らしい舞台だと幼いながらに感じた」と小平。世界中の競技者を「応援したい思い」はもちろん「地元への恩返しという意味でも、少しでも皆さんの心にともせる火があればいいなという思いで走りたい」とうなずいた。
来季に向けた始動予定日は翌日の4月3日。東京五輪の熱量も力に、22年北京五輪へと向かう。