“24分死闘”の丸山城志郎が再始動 五輪代表・阿部にエール「日本柔道体現して」
柔道男子66キロ級で2019年世界王者の丸山城志郎(27)=ミキハウス=が9日、拠点を置く天理大での練習をオンラインで公開した。昨年12月の東京五輪代表決定戦で阿部一二三(パーク24)と24分間の死闘を繰り広げたものの惜敗。4月の全日本選抜体重別選手権(福岡)で再始動するが、「まだ柔道を辞めるつもりはなかった」と明かし、「一番先(の目標)にパリがあって1つ1つ階段を上っていく形」と、24年五輪出場を見据えて現役続行を明言した。
柔道史に残る名勝負から3カ月。丸山の表情にはどこか明るさも戻っていた。「忘れられない試合だが、前に向かないと始まらない」「あの試合は気持ちも体も状態は完璧に近かった。負けて悔しかったが、全部出し切ったのでスッキリというか、すぐに次に向けて動き出せた」。年明けからは練習を再開し、3年後の五輪出場も見据えながら、直近では4月の全日本選抜体重別選手権に向けて取り組んでいるという。
異例のワンマッチで行われた昨年末の代表決定戦は、両者一瞬も気を抜けない攻防を繰り広げ、あっという間に延長に入り試合時間は20分を経過。最後は阿部が繰り出した大内刈りを丸山が捨て身技で返そうとしたが、最後まで体を浴びせた阿部に軍配が上がった。
代表決定戦で勝負を分けたのは「気持ちの面」。また、フィニッシュシーンでは「もつれ合って最後(体を)ひねり切れなかった」とフィジカル強度が明暗を分けたと分析する。「僕の良さは技のキレやスピードだと思うが、そこにプラスアルファで馬力、力強さも取り入れようと」。キレ味の鋭い内股の名手だが、接近戦で強引に投げ切ることもできる柔道の体得を目指してウエートトレーニングにも励んでいることを明かし、「力ずくでも持っていけるようなシンプルに強い柔道を見せたい」と“進化系”への方向性を示した。
また、五輪代表を勝ち取った阿部に対しては「日本代表としてふさわしい柔道をあの舞台(日本武道館)で体現してほしい。(内容よりも)勝負にこだわることは大切だと思うが、日本らしい、釣り手と引き手をしっかり持って一本を取りに行く姿勢を見たい」と、本格派の丸山だからこそのハイレベルなエールを送った。