松田瑞生 初優勝も悔し涙…自己ベストにわずか4秒及ばず「過去の自分超えたかった」
「名古屋ウィメンズマラソン」(14日、バンテリンドームナゴヤ発着)
東京五輪マラソン女子代表補欠の松田瑞生(25)=ダイハツ=が2時間21分51秒で初優勝した。「過去の自分を超える」を目標に挑んだが、自己ベストまであと4秒届かず悔し涙を流した。佐藤早也伽(積水化学)が2時間24分32秒で2位、26歳で初マラソンの松下菜摘(天満屋)が2時間26分26秒で3位に入った。同代表補欠の小原怜(天満屋)は2時間32分3秒で18位だった。
サングラスを取り、なんとか笑顔を作ってゴールテープを切った瞬間、松田の目から悔し涙があふれ出た。「どんな状況であっても過去の自分を超えたかった。悔しかった」。東京五輪代表の座を逃してから1年。自己ベストに4秒届かず、涙が止まらなかった。
強風の中で序盤から飛ばし、25キロ、30キロ地点では前回大会で東京五輪代表の一山麻緒(ワコール)がマークした女子単独の日本記録を上回るペースで爆走。これまでの薄底から厚底にシューズを変更したことも奏功し、22キロ過ぎからの長い一人旅も崩れることなく最後まで駆け抜けた。
20年1月の大阪国際を自己ベストの2時間21分47秒で優勝。五輪切符をつかみかけたが、2カ月後の名古屋で一山がさらに速いタイムで走り、代表の夢は散った。その後、松田は「スタートラインに立つのが怖くなった」時期もあったという。
どん底を知ったからこそ、強くなりたい思いが増す。代表補欠の立場だが「五輪に出る気持ちでいる」と話し、出場機会がなければ五輪後に「日本記録に挑戦したい」。うれし涙を流すまで、松田のマラソンは終わらない。