今度は開会式の演出責任者が辞任 新国立、エンブレム…問題続出の東京五輪振り返り
東京五輪・パラリンピックの開閉会式の責任者であるクリエーティブディレクターの佐々木宏総合統括(66)が女性タレントの渡辺直美さんの容姿を「ブタ」と侮辱するような演出を提案していた問題を受け、大会組織委員会の橋本聖子会長(56)が18日、都内で会見し、佐々木氏の辞意を受諾したことを明かした。五輪開幕が4カ月後に迫っている中、今度は大会式典の演出責任者の醜聞が明らかになり、スピード辞任。2月には、女性蔑視発言問題で森喜朗会長(83)が引責辞任したばかりだった。
東京五輪を巡っては、13年の招致決定からさまざまな問題が噴出してきた。
招致活動や、14年の大会組織委立ち上げ時の政府、関係団体のトップはすべて入れ替わった。安倍晋三首相は健康状態を理由に20年8月に辞任。日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は招致汚職疑惑が浮上し、19年3月に退任した。東京都の猪瀬直樹都知事は政治資金疑惑で13年12月に辞任し、組織委の森喜朗会長は女性蔑視発言の責任を取り、21年2月に辞任した。
新国立競技場の建設を巡っては、12年に建築家のザハ・ハディド氏(16年に死去)のデザイン案が選ばれたが、その後、総工費高騰などの批判が噴出し、着工を断念。再コンペを経て、隈研吾氏らのチームによる案で建設された。
大会エンブレムを巡っては、佐野研二郎氏の作品にいったんは決まったものの、盗作疑惑が浮上し、異例の撤回。一部デザイナーに限定した選考過程に疑念の声が上がったため、透明性を重視した選考をやり直し、「組市松紋」の作品が選ばれた。
また、大会開催時期の猛暑を理由に、マラソン・競歩の開催を東京から札幌に移転する異例の事態となった。
さらに、大会開催予定の20年3月には、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を理由に、21年夏への1年延期が決定。今年の世論調査では、今夏の大会開催に否定的な声が約8割に上るなど、逆風が吹いている。