炎鵬 つられる側が初めてつった「こんなに気持ちいいんだ」7勝目で単独トップ
「大相撲春場所・9日目」(22日、両国国技館)
関取最小兵168センチ、98キロの十両炎鵬(26)=宮城野=が182センチ、164キロの天空海(立浪)をつり落として、館内をどよめかせた。
立ち合い、相手に飛ばれ上手を取られた。「天空海関が見えなかった。消えた。地面すれすれだったけど何とか我慢」と押しつぶされそうになりながら、左下手で耐えた。
すかさず、右で相手のまたをすくい上げ、下手まわしを引き付けた。天空海を持ち上げて、そのまま、土俵にたたきつけた。「持ち上げたつもりはない。天空海関が飛んだというか、自分がそこに乗っける感じ」と、無我夢中だった。
いつもは自身がつられる側。「(つりは)初めて。稽古でも1回もない。20年以上取っているけど本当に初めて。何が起こったのか分からないけど、とりあえず気持ちよかった。つられたことしかない。こんなに気持ちいいんだ。初めての体験」と爽快感があった。
7勝目(2敗)を挙げ、並んでいた千代丸が敗れ、宇良がこの日から休場したため単独トップに立った。「それは終わってみて、そうなれば」と、まずは勝ち越しに照準だ
8日目、あこがれの宇良との人気業師対決で敗れた。「きのう帰ってから悔しさがひしひしとこみ上げた」と、この日、バネにした。宇良は休場したことに「びっくりした。大きなケガじゃないことを願っている。(自身は)できることをしっかりやる」と、気を引き締めた。
炎鵬は19年夏場所から幕内を維持し、最高位は東前頭4枚目まで上がったものの、昨年春場所から4場所連続で負け越し先場所、十両に陥落した。先場所は兄弟子の横綱白鵬が新型コロナウイルスに感染した影響で全休。今場所、2年ぶりの十両土俵に立ち、1場所での幕内返り咲きを狙う。