吉田秀彦氏 古賀稔彦さん悼む「私から人生の金メダルを」バルセロナ五輪「一生の宝」
1992年バルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダリストの古賀稔彦さんが24日午前9時9分、がんのため川崎市内の自宅で亡くなった。53歳だった。葬儀・告別式は29日に執り行われる。時間や場所は非公表。関係者によると、昨春に体調を崩して一時入院し、手術も受けたという。豪快な一本背負いを武器に大きな選手を投げ飛ばした「平成の三四郎」の突然の訃報に、柔道界、スポーツ界は悲しみに暮れた。
古賀さんの急逝を受け、92年バルセロナ五輪柔道男子78キロ級金メダリストの吉田秀彦氏(51)は24日、川崎市の古賀塾跡地を訪れた。所属を通じて追悼のコメントを発表し、「古賀先輩の訃報を聞き、今はただ驚きと、まだ信じられない気持ちでいっぱいです。最後まで奇跡を信じていましたが、かないませんでした」と早すぎる別れを惜しんだ。
古賀さんは講道学舎の2年先輩だった。ともに出場したバルセロナ五輪では、直前練習で吉田氏と乱取り練習をしている際に左膝の靱帯(じんたい)を損傷。畳でもん絶する姿は放映され、衝撃を与えた。満足に歩けない状態となったが、それでも痛み止めを注射し、テープで固定しながら出場。執念で金メダルを獲得した。
吉田氏は「けがで柔道ができる状態ではなかった古賀先輩が優勝した瞬間、私が金メダルを取ったとき以上の喜びを感じました。古賀先輩が見せたあの精神力は、今も私の支えとなっています。二人で勝ち取った金メダルは一生の宝です」と述懐。「後進の指導や子供たちへの柔道普及活動など柔道界の発展に尽力された古賀先輩に、私から人生の金メダルを贈らせていただきます。ご冥福を心よりお祈りいたします」と悼んだ。