空手・植草歩が刑事告訴へ 五輪まであと4カ月なのに…全空連認めた 竹刀で左眼負傷
空手で東京五輪女子組手61キロ超級代表の植草歩(28)=JAL=が、全日本空手道連盟(全空連)の香川政夫強化委員長(65)からパワーハラスメントを受けたと訴えていることについて、全空連は31日、都内のホテルで倫理委員会を開催。両者に聞き取りを行い、香川氏による1月の竹刀を用いた練習で、植草が目を負傷した事実を確認した。倫理委は今後も調査を継続するとしているが、植草側は香川氏を傷害容疑で刑事告訴する準備を進めており、法廷闘争に持ち込まれる可能性もある。
紺のパンツスーツ姿の植草は聴取を終え「きちんとお話ししてきました。これ以上は話せないので」と顔を上げて報道陣に語った。
植草は3月15日に全空連関係者へ事案を相談。28日には自身のブログを更新し「自立心・自尊心を傷つけられたり、大声で怒鳴られたりすることが多くなりました」などと告発した。また1月の練習中に竹刀で顔面を突かれる行為を受け「左眼球打撲」と診断されたことも記していた。
倫理委は、この日の両者への聴取によって、1月27日に香川氏による竹刀を用いた練習で植草が目を負傷したことが「事実関係として認められました」と報告。「竹刀を用いた練習は大変危険であり、どの練習においても全く認められるものではありません。引き続き調査してまいります」としている。
植草を担当する境田正樹弁護士は、加えて竹刀を用いた指導について、1月末に医師から香川氏へ練習方法の改善を求めていたことが判明したと説明。しかし2月末まで同様の練習は続いており、「これはちょっと看過できない」と法的措置も示唆した。関係者によると、既に警視庁南大沢署に相談し、傷害容疑で刑事告訴する準備を進めているという。
一方で、聴取を受けた香川氏は「竹刀を持ったこと自体がパワハラだというなら致し方ない。僕の認識不足」と述べつつ、「植草の目を突いたというのは違う」と主張。医師から練習方法の改善を求められていたという植草側の指摘にも「そんな話はない」と語るなど、両者の主張には食い違いも多い。
第三者や弁護士らで構成されている倫理委は聴取内容をもとに処分などを検討。最終的には理事会の決議で処分を決定する。関係者によると、香川氏には資格停止などの処分が下される見通しだという。
東京五輪まで残り4カ月を切ったタイミングでの、この騒動。境田弁護士は「これ以上(今の環境での練習を)続けられない。東京五輪への練習に取り組めない」と説明したが、早期解決は図れるのか。