照ノ富士 綱取りへの覚悟 シンプル口上に込めた「謹んでお受け致します」
日本相撲協会は31日、東京・両国国技館で臨時理事会と夏場所(5月9日初日、両国国技館)の番付編成会議を開き、春場所で3度目の優勝を飾った関脇照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=の大関昇進を満場一致で決定した。序二段まで落ちながら21場所ぶり奇跡の大関奪還。2度目となった昇進伝達式では「謹んでお受け致します」と短い口上に、前回と変わらぬ横綱昇進への強い決意を込めた。
簡潔な口上に照ノ富士の覚悟が表れた。使者の高島親方(元関脇高望山)から満場一致での推挙を伝えられると、「謹んでお受け致します。本日は誠にありがとうございました」と短く応じた。
その意味を「2回目ということだから、やはり気持ちはずっと変わっていないし、そういう意味で素直にありがたい気持ちで。もちろん、やるからには上を目指して頑張りたい」と説明した。
約6年前の口上は「今後も心技体の充実に努め、さらに上を目指して精進いたします」だった。3年半ぶり元の地位に戻っただけ。横綱を目指す闘志は何一つ変わらず燃えている。だからこそ余計な言葉は必要なかった。
特例(負け越し翌場所10勝で大関復帰)によらない大関復帰は1977年初場所後の魁傑以来2人目。44年前の先人の口上も同様にシンプルだった。
魁傑を上回る最長ブランク21場所ぶり大関奪還。会見では「やっとたどり着いたな、とホッとしている」と喜びをかみしめた。
両膝負傷、内臓疾患に苦しみ序二段に落ちながら史上最大のカムバック。2年前の春場所、序二段で復帰した際は大関復帰は「想像になかった」と本音。「前向きに頑張った結果」とうなずいた。
夏場所は4大関となり、横綱を目指す戦いに加わる。「(横綱の地位は)経験したことがない。だからこそ一回でも経験したい」と意気込んだ。関脇以下で3度の優勝は史上初。大関初Vが次の目標になる。
闘病を支えてくれたドルジハンド夫人(26)にも恩返し。「苦しい思いをさせてきた。これから幸せにしてあげたい」と、夫婦でまだまだ高みを目指す。
どん底を味わったからこそ成長した。「(番付を落としても)やっているうちに相撲が好きになる自分もいる。今は相撲が大好きです」と、胸を張った。