角田夏実が涙の初V 隔離明けすぐ寝技師本領 腕十字固めは「どんなときも味方」

女子48キロ級で初優勝し、インタビューで涙を見せる角田夏実=福岡国際センター(代表撮影)
女子48キロ級決勝で、古賀若菜から腕ひしぎ十字固めで1本勝ちする角田夏実(左)(代表撮影)
女子48キロ級で優勝した角田夏実(左)と準優勝の古賀若菜(代表撮影)
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 「柔道・全日本選抜体重別選手権」(3日、福岡国際センター)

 女子48キロ級は、17年世界選手権52キロ級銀メダルの角田夏実(28)=了徳寺大職=が階級転向後、大会初制覇を果たした。決勝は、19歳の古賀若菜(山梨学院大)から28秒、腕ひしぎ十字固めで一本勝ち。優勝インタビューでは、傷だらけになった顔に涙を浮かべながら「勝たなきゃいけないプレッシャーがあったが、勝ちを求めた中で勝てたのは自分の中で大きい」と大きくうなずいた。

 精彩を欠いても、頼りにできる絶対的な武器がある。角田は初戦から苦戦が続いたものの、最終的には代名詞の腕ひしぎ十字固めで打開した。決勝は19歳のホープを寝技地獄に飲み込んで秒殺。「動きは良くなかったけど、寝技はどんなときでも自分の味方だな」と“擬人化”した必殺技に親しみを込めた。

 超ハードスケジュールも乗り越えた。先月には国際大会に出たばかり。3月中旬に帰国後は、自宅で14日間の隔離期間を過ごした。大会が迫る中でも外出ができないため、サウナスーツを着用してのホットヨガで減量を敢行。隔離明けの練習も1週間ほどしかできなかったが、「調整が難しかったことを(負ける)理由には出来ない」と土壇場での勝負強さを発揮した。

 長い手足を駆使した独特の間合いのともえ投げと、腕ひしぎ十字固めという「2大看板」を武器にする28歳。52キロ級時代は、現五輪代表の阿部詩(日体大)に3連勝し“カモ”にするなどトップ選手として活躍したが、より長く現役を続けるために19年11月から最軽量級に転向した。ただ、強化選手から落ちる不安とも隣り合わせで「階級を変えて(実績が)1回ゼロになってしまった。年齢もあるし、勝ち続けないといけないという気持ちがあった」と大きな重圧を抱えていたことを明かした。

 24年パリ大会へのスタートとなる世界選手権(6月、ブダペスト)代表に選ばれ、新たなフィールドで戦う準備が整った。「階級を変えてまで、もっと(長く)柔道をしたい思いがある。勝てるところで勝って、できるところまで柔道をしたい」。特異なスタイルで、世界の最軽量級戦線もかき乱しにいく。

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