空手パワハラ問題で強化委員長解任…香川氏謝罪も負傷意図は否定「故意はない」
空手で東京五輪女子組手61キロ超級代表の植草歩(28)=JAL=が、全日本空手道連盟(全空連)の香川政夫強化委員長(65)からパワーハラスメントを受けたと訴えている問題で、全空連は9日、都内で理事会を開催し、香川氏を強化委員長から解任することを決めた。理事も辞任する。
全空連は3月31日の倫理委員会で両者からの聞き取り調査を行い、香川氏の竹刀を使った練習により植草が目を負傷したことを事実として認定。ハラスメント事案については双方の言い分が食い違っているというが、竹刀を用いた練習での負傷を問題視し、解任が決まった。
香川氏は理事会後に取材に応じ「今回こういう結果(解任)になったのは残念ですし、不徳の致すところ」と謝罪。ただ、竹刀での指導については「故意に目を突いたとかは決してありません」と負傷は偶発的なものだったと強調した。竹刀を用いた練習は、香川氏の発案で外国人対策として取り入れたものだったと明かし「外国人は思いきり蹴ってくる。力感あふれる相手に対し、植草選手も試合で脳振とうを起こしたり、ケガをしたりしていた。何年か前は沖縄の大会で目に当たって眼窩底(がんかてい)骨折で棄権した経緯もあった」と背景を説明した。
ただ、植草とは昨秋頃から指導方針や私生活をめぐってたびたび衝突してきたこともあったといい、「信頼関係が崩れてきたというのが一番の原因」と香川氏。「私も言い過ぎた部分もあったと思う。細心の注意を払って彼女に寄り添えなかった」と悔いた。
日本代表の強化現場から去ることになった。「コーチから約20年、指導に心血を注いできた。今回、植草選手とこういうことになったが、私自身もう思い残すことはありません」と語った。