五輪6冠フェリックス「希望持てている」米五輪・パラ委員コロナワクチン万全の準備強調
新型コロナウイルスの影響で延期された東京五輪は聖火リレーが始まっても機運が高まらず、変異株の拡大で先行き不透明な状況が続く。海外ではワクチン接種の進展具合にもばらつきがある。準備状況に隔たりが生じている各国選手団の現在地を探った。
新型コロナウイルスの感染者、死者数とも世界最多の米国はワクチン接種が着々と進み、東京五輪に向けて臨戦態勢を整える。2016年リオデジャネイロ五輪で国別メダル数トップのスポーツ大国。同国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)のハーシュランド最高経営責任者(CEO)は「選手たちは参加を熱望しているし、準備もできている」と語り、参加自粛の報告も届いていないという。
ワシントン・ポスト紙(電子版)によると、自国開催した1996年アトランタ五輪に次ぐ規模となる約600選手の派遣を見込む。体操女子のシモーン・バイルスや競泳女子のケイティ・レデッキーらリオ五輪金メダリストも健在だ。楽観論の背景にはワクチン接種の進ちょく具合が挙げられ、同CEOは「5月上旬には希望者に行き渡る。ただ接種の強制はしない」と状況を説明した。
昨春に新型コロナのパンデミックが起きると、施設が次々と閉鎖に追い込まれた。選手は練習場所の確保に奔走し、コロラド州にあるUSOPCの施設でも、練習機会を巡って競技団体から不満の声が上がった。約1年が経過し、担当者が「選手は計画の変更を極力気にしないようにして、試合の準備に100%集中している」と説明するなど少しずつ日常が戻って来た。
コロナ禍での五輪開催に厳しい論調で懸念を指摘する米国メディアもある。陸上女子で通算6個の五輪金メダルを獲得しているアリソン・フェリックスは「再延期や中止を考えないようにしていた。全てが近づいてきているし、希望を持てている」と心境を語った。6月には陸上や水泳、体操で代表選考を兼ねた全米選手権も控え、機運は高まりつつある。