山県亮太が復活V!地元・広島で序盤から圧逃10秒14 五輪「十分射程圏内」
「陸上・織田記念国際」(29日、エディオンスタジアム広島)
男子100メートルで、地元広島出身の山県亮太(28)=セイコー=が10秒14(追い風0・1メートル)で優勝した。小池祐貴(住友電工)が10秒26で2位、桐生祥秀(日本生命)は10秒30で3位、多田修平(住友電工)は10秒32で4位だった。
地元・広島で復活優勝を飾った。予選1位の山県は、決勝では序盤から加速。前に出ると、そのまま鮮やかに逃げ切った。場内インタビューには「今日は体が軽くて背中を押してもらえた」と晴れやかな表情。声援に感謝も伝えた。
過去2回五輪に出場し、16年リオ五輪では400メートルリレーで銀メダルを獲得した短距離界の第一人者だが、ここ2年はけがに苦しんだ。19年11月に右足首の靱帯(じんたい)を断裂し、1年3カ月ぶりのレースとなった20年8月のセイコー・ゴールデングランプリは予選落ち。同年9月には右膝を痛め、12月までほとんどトレーニングができなかった。
「結構モヤモヤしていた。動けるけど動いちゃ駄目みたいな時期もあったりしてストレスがかかった」。寝付きが悪くなり、ボイストレーニングに通って、自律神経を整えるほどだった。
悩みながらも、少しでも速くなるために、膝に負担がかからない走り方を模索した。「けがの原因を徹底的に考え尽くすことが大事。最近は走る内容が変わってきた」と、研究を重ねて再び頂点に戻ってきた。
「2年間の不調もあったし、地元の広島で優勝できた。(五輪参加標準)タイム(の10秒05)を切った訳ではないけど、久しぶりにうれしい」。笑顔も見せつつ、五輪出場は「十分射程圏内」と目をぎらつかせた。今後は「(10秒00の)自己記録を狙って頑張りたい」。このまま夢舞台へ突き進む。