芝田山部長「まずは土俵回り」 響龍さん悲劇繰り返さない 5月7日応急対応処置講習会
日本相撲協会は4月30日、土俵上の応急対応処置講習会を5月7日に両国国技館の土俵周りで行うことを発表した。審判部の親方、警備担当の親方、医師らが参加する。
3月26日、春場所の取組で頭部から土俵に落下した境川部屋所属の三段目、響龍さん(本名・天野光稀)が急性呼吸不全のため4月28日に28歳の若さで死去した。
響龍さんは事故当時、頭を強打し意識はあるものの、首から下が動かなかった。呼び出しがあおむけにした後、医師が土俵に到着。たんかで救急搬送されるまで5分以上を要した。
悲劇を繰り返さないよう、初動対応の迅速は必須。夏場所(5月9日初日、両国国技館)へ向け、救急の知識をまずは土俵周りを担当する親方らを最優先に徹底講習することになった。
電話取材に応じた芝田山部長(元横綱大乃国)は「まずは土俵回り。協会員の救急処置はAED講習会とかはやっている。消防訓練の救急対応もやっている。お客さんが倒れた時の場合もやっている。今回は土俵上で意識を失った、倒れて起き上がってこられないとか。今までも脳しんとうを起こしたり、張り手一発で倒れて意識もうろうとして土俵を下りていく人もいた。理事会で脳しんとうを起こした時、どうするかは決まった。倒れ込んだ時どうするか、いろんなケースがある。迅速に対応するため、今回の講習になった」と説明した。
1月の初場所でも幕下取組で危険な場面はあった。立ち合い、朝玉勢(高砂)と頭で当たった湘南乃海(高田川)が崩れ落ちた。脳しんとうの症状で、しばらく起き上がれない事態となったが、立ち合い不成立で取り直しとなった。
初場所後に審判規則が変更された。審判が相撲が取れる状態ではないと判断した場合、協議の上で不戦敗とすることになった。
芝田山部長は「1月場所に湘南の海が脳しんとうを起こして、立ち上がれなくことがあって、検討材料になっていた。いろいろ専門家の先生、詳しい人にいろいろとレクチャーしてもらって、今回、来週やると決まってはいた。その中で昨日の響龍のことがあり、まだ発表できなかった。(講習会)当日は土俵回りで仕事をしてくれる方を集めた上で、先生方に話を聞きながら、どういった形で対処したらいいか、講習される。状況判断もある。即動かしていいか、という判断もある。講習会でレクチャーされると思う」と話し、協会は急ピッチで安全対策に全力を尽くす。