伊藤達彦 魂のスパートで初V&五輪内定 内定済み相沢には「絶対負けない」
「陸上・日本選手権」(3日、静岡スタジアム)
東京五輪選考会を兼ねた男子1万メートルは五輪参加標準記録を突破していた伊藤達彦(23)=ホンダ=が27分33秒38で制し代表入り。相沢晃(23)=旭化成=は内定済みで残り1枠。1万メートル代表は今大会終了時点で男子は27分28秒00、女子は31分25秒00の参加標準記録を満たし、3位以内に入った上位から内定することになっていた。
魂のスパートだった。残り2周。伊藤が仕掛ける。一瞬で他の選手を突き放し、残り1周でさらに加速。唯一参加標準記録を突破しており、3位以内でも五輪が決まる可能性もあった中、勝ちにこだわり抜き、五輪切符をもぎ取った。
今年1月、ニューイヤー駅伝レース中に両大腿骨の疲労骨折と肉離れを発症。2カ月間、ジョギングすらできず「正直諦めていた」。それでも周囲の支えで何とか間に合わせ、地元静岡で激走した。
再び“ライバル対決”が実現する。昨年1月の箱根駅伝、12月日本選手権と、同学年の相沢と壮絶な競り合いの末敗れた。「一番ライバル。相沢選手には絶対負けないという気持ちで走りたい」。ちまたでは“ランニングデート”とも呼ばれる名勝負数え歌が、次は夢の舞台で実現する。