阿部詩 五輪前ラストマッチで圧倒V締め 4戦オール一本勝ちで上々
「柔道・グランドスラム(GS)カザン大会」(5日、ロシア・カザン)
女子52キロ級が行われ、東京五輪代表の阿部詩(20)=日体大=が、反則による勝利を含む4試合オール一本勝ちで優勝した。これが五輪本番前ラストマッチだったが、金メダル候補のヒロインは圧倒Vで弾みをつけた。
初戦の2回戦はベルギー選手の指導3による反則で勝つと、準々決勝はルーマニア選手に組み際の内股で技ありを得た後、内股透かしで合わせ技一本。準決勝はスペイン選手に大外返しで技ありを取ってから大内刈りで一本勝ちし、決勝は19年欧州女王のニェト(フランス)に袖つり込み腰、押さえ込みによる合わせ技一本で勝負を決めた。
3月のGSタシケント大会では、優勝したものの決勝が不戦勝となるなど不完全燃焼だった。コロナ禍で1年の実戦ブランクがあったこともあり、「少し物足りなさを感じた。五輪までの気持ちをしっかりつくるためにもこの1試合を踏んでおきたい」と、短いインターバルでの今大会を総仕上げの場に設定。「自信をつけて帰ってくる」と意気込んでいた。
課題も明確にしていた。最近の試合では、代名詞の袖つり込み腰が海外勢から徹底マークされており、攻めあぐねる場面も増えている。それを踏まえ、大会前には「袖つりで狙って一本を取ることは難しくなってくる中で、足技や後ろの技を出せたらいい」と話していた通り、準決勝では袖つり込み腰に入る体勢から大内刈りにつないで一本を奪うなど、着実にテーマを遂行した。
7月25日の五輪本番でも包囲網が形成されるのは必至だが、どんな局面からでも投げて勝つ柔道を貫くために準備する。