照ノ富士が1335日ぶり大関星 明生を体格とパワーで圧倒「全力出し切って頑張る」
「大相撲夏場所・初日」(9日、両国国技館)
21場所ぶり大関復帰の照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=が平幕明生を豪快なきめ出しでねじ伏せ、白星発進した。大関として2017年秋場所3日目以来、1335日ぶりの勝利。2場所連続V4へ今場所も堂々の主役を張る。正代、貴景勝、朝乃山も勝ち2016年九州場所5日目以来の4大関安泰。一人横綱白鵬が休場する中、三役以上の後半7番はすべて番付上位が勝利。新型コロナウイルス禍により3日目まで無観客開催となった静かな夏場所の土俵が波乱なく、幕を開けた。
心技体で一回り大きくなり大関照ノ富士が帰ってきた。立ち合い、呼吸を合わせない明生の“駆け引き”にも冷静。2度目で立つと圧力で押し込んだ。もろ差しを許しても止まらず猛攻。外から極(き)め上げて土俵外へ豪快に投げ飛ばした。
序二段から史上最大の大関カムバックを果たし今場所は再注目。しかも無観客開催。だが「もともと緊張はしない」と言う強心臓には関係ない。土俵に響いた「大関」の呼び出しにも「深い感慨はない」と言い切った。
1335日ぶり大関星。「前に足が出たので良かった。(無観客でも)テレビの前で応援してくれている。やることは変わらない」と落ち着き払った。
古傷の両膝に爆弾を抱え、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「稽古があまりできていない。どこまで頑張れるか。大関の責任を果たしてほしい」と不安と期待が交ざる。周囲は15日間、取り切れば、優勝争いを引っ張る実力と見る。
八角理事長(元横綱北勝海)は「安定してますよね。中心でしょう。こういう相撲を見ると」と目を細めた。土俵下で見た高田川審判長(元関脇安芸乃島)は「(立ち合いで)じらされたけど落ち着いていた」と精神面の充実ぶりを感じた。
照ノ富士が番付の安定をもたらした。先場所、11日目に初めて安泰となった3大関も全員、勝利で続いた。
2015年夏場所後の新大関昇進時と変わらず「横綱昇進」が最大目標。「全力を出し切って頑張りたい」と気合十分。4大関で競う綱とりレースの主役は譲らない。