山木伝説が一度引退からの復活V 名前の読みは「かける」
「陸上・東日本実業団選手権」(15日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)
男子400メートル決勝が行われ、山木伝説(かける、25)=PUDOLF=が自己ベストを0秒04更新する46秒81で優勝した。
「伝説」を背負った男が全力で“かけた”。名前は当て字で「かける」と読む。「名前が世の中で伝説のように語りつがれるよう、駆け抜ける」と願いを込めて付けられた。ホテルのチェックイン時には必ず「これで『かける』って読むんですか!」と驚かれ、エゴサーチをすれば「名前負けしてない」といじられる。SNSの「(この名前で)速くなかったら『やだ』」という声も、「逆に原動力になる。これで本当に速くなってやる」と力にしてきた人生だった。
18年の日大卒業後は、一度故郷の山形県で就職。大学3年時の16年全日本インカレで3位に入ったことが忘れられず、「どうしても後一歩届かない1位を目指したい。心にふたをして安定を選ぼうとしたけど、自分の中で煮え切らない」と、20年8月に、再び競技の世界に戻ってきた。
復帰後の目標は「日本選手権に行ってみたい」という。現在は公益財団法人成田市スポーツ・みどり振興財団に務めながら、週4回、約1時間練習。「逆に陸上陸上しすぎない」とモチベーションも保(たも)てている。「意外と高い目標は持ってない。仕事をしながらでもやれるんだよって勇気を与えられたら」。独自の“伝説”を陸上界に打ち立てる。