遠藤 平幕最速勝ち越し 11月に長男誕生、パパになった人気者が逆転V狙う
「大相撲夏場所・10日目」(18日、両国国技館)
西前頭8枚目の遠藤が琴ノ若を押し出して4連勝で平幕最速の勝ち越しを決めた。昨秋に第1子となる長男が生まれたことも判明。パパとなった屈指の人気者がトップと2差を死守し終盤、逆転Vに望みをつなぐ。単独トップに立つ大関復帰の照ノ富士が霧馬山を一蹴し、無傷10連勝で後続と2差をキープ。2敗を守った大関貴景勝と遠藤の2人が照ノ富士を追う。かど番大関の正代が厳しい5敗目を喫した。
パパとなった遠藤が久々に上位戦線で沸かせている。祖父は元横綱琴桜の“サラブレッド”琴ノ若を一蹴。もろ手を下から突き放し、後退させると、素早い出足で押し出した。
4秒1の速攻。7歳下の23歳に技能の違いを見せ付けた。先場所、左足負傷で途中休場し番付を下げた。平幕中位では当然とも言える4連勝で8勝目だ。
今場所はリモート取材に応じず、相撲に集中してきた。平幕最速勝ち越しでインタビュー室に呼ばれ、初めて“生声”を聞かせた。
「しっかり見て落ち着いて相撲を取れました。精神的にも体ともうまく付き合えています」と力を込めた。
10日目での勝ち越しは2016年秋場所(9日目で勝ち越し)以来のスピード。トップと2差を死守した。
2019年5月に結婚し、昨年11月場所前に長男が誕生。30歳、背負う家族が増えた。膝、足首など満身創いの体で父は踏ん張る。
コロナ禍で自粛生活も続くが、もともと外食もほとんどしないストイックな力士。師匠の追手風親方(元幕内大翔山)は「遠藤は変わらない」と言うほど、影響がない。
場所前の稽古も抜群だった。親方は「一番、芽が出ていた(関取衆との申し合いで勝つこと)」と好調さを感じた。通常、場所中は数回、病院で治療を受けているが今場所は「1回も行っていない」と親方は明かした。
屈指の人気者は言う。「コロナ禍でお客さんもいつもより入場できない。テレビの向こうで応援してくれる人もたくさんいる。元気の出る相撲を取るようにやっています」。ファンは苦労人の逆転劇を期待する。