世論“説得”へ危機感と焦り滲んだ1時間 ワクチン頼み露呈 IOC、組織委合同会議

 東京五輪の準備状況を監督する国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員会と大会組織委員会などによる合同会議が19日から3日間の日程でスタートした。日本国内で開催を疑問視する世論が高まる中、最大の課題となる新型コロナウイルス対策などについて議論する。会議は昨年9月以来で、今回が11回目。本番前では最後の機会となる。

 国内の世論調査では中止、再延期合わせて80%超え、再延期の選択肢がない場合は6割が中止など、以前として厳しい数字が並ぶ。公開された冒頭あいさつには、日本側から組織委の橋本聖子会長、小池百合子都知事、丸川珠代五輪相、萩生田光一文科相ら、IOCからはジョン・コーツ調整委員長に加え、トーマス・バッハ会長も参加。全員があいさつを述べた約1時間。危機感が滲んだ。

 バッハ会長は、日本国内でコロナ禍での看護師500人の確保などに強い反発が出ていることを受け、IOCとして「医療スタッフの追加的サポートをする」と、支援を表明した。また、選手村に入る選手、関係者のうち75%がワクチン接種済みか、ワクチンを確保していることを明かし、「80%は超えるだろうと確信している」と、強調。「我々も一生懸命努力している。アスリートと同じぐらい」とアピールし、その上で、日本国民に向け「安全安心な大会を可能にするのは、日本の皆さんのユニークな粘り強さの精神と逆境を耐え抜く能力」と、持ち上げた。ただ、医療スタッフの派遣は、現在削減努力を求めている来日関係者の増加に繋がる矛盾もはらんでいる。

 これまで大会側は「ワクチンを前提としない大会」を強調してきたが、急転“ワクチン頼み”を露呈させた。丸川五輪相は、9万人とも見積もられる選手以外の来日関係者について「メディアも含めて大会に不可欠な方以外は、さらなる精査をしてほしい」と削減を要請し、ワクチン接種についても「メディアも含めた大会関係者の接種に期待している」と、事実上要請した。コーツ調整委員長も「丸川大臣が大切なことをおっしゃった。NOCやメディアの関係者にもワクチンを受けることを強く推奨したい」と、応じた。

 ただ、現状ではアスリートの優先接種にも、反発が出る状況。日本を含め、高齢者へのワクチン接種も終えられていない国が多くある中、なりふり構っていられない危機感と焦りが滲む初日となった。

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