丸川五輪相、大会中止なら「都が赤字負担」 医療体制問題に続いてまた小競り合いか
丸川珠代五輪相(50)が21日、閣議後の定例会見で、今夏の東京五輪・パラリンピックが中止となった場合の財政リスクについて言及した。大会組織委員会が資金不足となった場合、東京都が赤字を穴埋めするという原則を説明。「都の財政規模を踏まえると、組織委の財政不足を補てんできないことは想定しがたい」と、国にまで財政問題が及ぶことはないとの見方を示した。対して、東京都の小池百合子知事(68)は「協議が必要」と認識の相違をにじませた。
今度は“財布”を巡って食い違いが生じた。新型コロナウイルス感染拡大で大会開催に懐疑的な声が広がる中、丸川氏は大会が中止となった場合の財政負担について言及。13年の大会招致時の立候補ファイルで責任主体が明確にされているとし「万が一、組織委が資金不足に陥った場合は都が補てんするが、補てんし切れない場合は法令に基づき国が補てんする」との原則論を示した。
大会主催者の組織委と都が、中止となった場合の費用も負担し、都が財政破綻した場合のみ国が財政支援を行うというもので「都の財政規模を踏まえると、財政不足を補てんできないことは想定しがたい」と丸川氏。国が赤字を穴埋めする可能性は低いと強調した。
一方、小池氏は認識の相違をあらわにした。都庁での会見で丸川氏の発言に触れ「(中止など)想定外の事象が生じた場合は、改めてIOC(国際オリンピック委員会)、政府、組織委を含めて協議が必要になると理解している」と発言。都が負担するとの一方的な主張に不快感をにじませた。
先月は大会への医療体制の整備をめぐって小競り合いを繰り広げた両氏。開催可否や観客の有無など最終判断のタイムリミットがじわじわ迫る中、犬猿の仲とされる2人の“不協和音”が不穏さをあおっている。