東京五輪 バブルの“穴”指摘相次ぐ 専門家から疑問「最も安全な選択肢は中止かも」
コロナ禍の中での開催が濃厚となっている東京五輪・パラリンピックについて、大会側が定めた新型コロナウイルス対策をまとめたプレーブックへの問題指摘が相次いでいる。
医学界で最も権威を持つ医学誌と称される「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」は25日付けの電子版で、プレーブックについて「五輪を進めるというIOCの決意は最高の科学的証拠に基づいていない」と批判する論文を掲載。五輪は選手、関係者らを隔離した“バブル”方式で実施されるが「アスリートに自己責任での参加を求める一方で、アスリートが直面するさまざまなレベルのリスク管理、体温スクリーニングなどの対策の限界の認識の両方に失敗している」とし、NBAやNFLなどが導入した厳格なプロトコルの教訓に「耳を傾けていない」と、“穴”を指摘。スマートフォンによる接種追跡アプリではなく、ウェアラブル端末などを推奨しつつ「最も安全な選択肢は中止かもしれない」と、警告した。
論文を執筆したミネソタ大感染症研究・政策センター所長のマイケル・T・オスターホルム博士は米CNNのインタビューで日本のワクチン接種率の低さや変異株の流行の問題を指摘。「緊急にWHOが専門家と選手を招集し、リスク管理を話し合うべき」と提案した。
25日にはニュージーランド保健省対策本部顧問を務めるオタゴ大学のマイケル・ベーカー教授がロイター通信の取材に、五輪開催を「理不尽でバカげている」と批判。選手、関係者合わせて約10万人が日本に集まるイベントについて「今、五輪開催をすることはどうあっても正当化できない」と、語った。
IOCや組織委はプレーブックについて「WHOから高い評価を得ている」としているが、大会が掲げる「安全安心」の柱が揺らぎ始めている。