大坂なおみの棄権決断に反応さまざま カリー「正攻法」ナブラチロワ「無事を願う」
「テニス・全仏オープン」(31日、パリ)
テニス女子で世界ランク2位の大坂なおみ(23)=日清食品=が31日(日本時間1日)、自身のSNSを更新し、大会を棄権することを発表した。また、2018年の全米オープン以降、うつ病と不安症に悩まされてきたことを告白。しばらくの間、コートから離れる意向を示した。
大坂の告白に、世界からは様々な反応が起こった。テニス女子で18度のグランドスラム制覇を誇るマルチナ・ナブラチロワはツイッターで「大坂なおみのことはとても悲しい。彼女の無事を心から願っています。アスリートとして私たちは身体的なケアは教えられているが、精神的、感情的な側面はまだまだ。これは記者会見をするしないだけの話ではない」と、ねぎらった。NBAのスーパースター、ステフィン・カリーは「こんな決断をする必要はないが、権力が自らを保護してくれないときには、正攻法だと思う。大きな敬意を」とつぶやいた。
大坂はツイッターに英文の文章を掲載。「これは私が意図した状況ではない。みんながパリでの試合に集中するには、私が辞退することがトーナメント、他の選手、私にとってベストと考えた。私は気を散らすようなことはしたくありません」と綴った。
大坂は大会前に自身のSNSで、「(記者会見で)アスリートの心の健康状態が無視されている」とすべての記者会見を拒否することを表明。30日の1回戦後、コート上のインタビューには応じたものの、記者会見は宣言通り拒否した。大会側は大坂に1万5000ドル(約165万円)の罰金を科し、四大大会の共同声明で拒否が続いた場合、全仏からの追放や、今後の四大大会の出場停止処分の可能性を示し、警告。一方の大坂は処分を受けて、自身のSNSを更新し、ツイッターでは「怒りは理解の欠如です。変化は人を不快にする」と反発。インスタグラムのストーリー機能では米国のラッパー、Juice Wrldの作品のカバー写真を投稿。そこには「Good bye&Good RIDDANCE」(さようなら、せいせいする)と記されており、大会自体の“ボイコット”の可能性を示唆するなど波紋が広がっていた。
大坂は自身が初めて四大大会で優勝した2018年の全米オープン以来、うつ病に苦しんできたことを告白。「真実は私は2018年全米オープン以来、長い間うつ病に苦しんできたということです。そして、その対処に本当に苦労しました。私を知っている人なら私が内向的であることを知っているでしょうし、トーナメントで私を見た人なら、社会不安を柔らげるためのヘッドフォンをしていることに気付くでしょう」。そして、会見拒否については「私は世界中のメディアに話す前に大きな不安の波に襲われます。本当に緊張し、できる限り最善の答えを出そうとすることにストレスを感じます。パリで私はすでに不安を感じていたので、セルフケアとして記者会見をスキップした方がいいと考えました。ルールがかなり古くなっている部分があると感じたので、先制的に発表しました」と、説明。トーナメント側には謝罪したことを明かした。
今後については「今はコートから少し離れますが、その時が来たら、ツアーと協力し、選手、報道陣、ファンにとってより良いものにする方法を話し合いたいと思います」と、綴った。
全仏主催者は「大坂なおみ選手には申し訳なく、悲しい思いをしています。なおみがローランギャロスから撤退した結果は残念です。彼女の一刻も早い回復を祈っており、来年なおみを迎えることを楽しみにしています。すべてのグランドスラム、WTA、ATP、ITFはすべてのアスリートの健康とメディアを含むトーナメント参加者のあらゆる側面を継続的に改善していきます」と、声明を発表した。