3年ぶりVの朝比奈沙羅、負傷した相手背負って一礼に称賛「置き去りにできなかった」

 「柔道・世界選手権」(12日、ブダペスト)

 女子78キロ超級で、18年世界女王の朝比奈沙羅(24)=ビッグツリー=が、日本人対決となった決勝で冨田若春(24)=コマツ=を9分36秒、指導3つの反則で下した。勝ち名乗りを受けた後は、試合中に左膝を負傷して歩行困難になった冨田を自ら背負うと、そのまま一緒に一礼をして畳から降りた。

 朝比奈は強烈な圧力を掛けながら優位に戦い、相手の技も受けきって延長戦の激闘を制した。相手が負傷したため試合後はとっさの行動に出たが、朝比奈のスポーツマンシップに会場では拍手が発生。国際柔道連盟(IJF)の公式インスタグラムでも、冨田を背負って一礼する朝比奈の写真がアップされ、「世界王者を体現するような素晴らしいスポーツマンシップ」と賛辞が贈られた。

 自身は学業のためにすぐに帰国するものの、冨田は翌日の団体戦を控えていることもあって「あの場に置き去りはできなかった。おぶったのが正しい選択かはわからないが、一緒に畳に礼をして出るのは最低限やることだと思い、ああいった行動を取った」と説明した。

 冨田は全日本柔道連盟を通じてコメントを発表。「一番は背負われて恥ずかしい。自分の足で畳から降りたかったというのが本音」と負傷したことに悔しさをにじませつつも、「朝比奈選手にはとても感謝しています」と謝意を述べた。

 朝比奈は東京五輪代表を逃したものの、昨年4月からは獨協医大に通っており、医学生として学業や実習と両立しながら柔道世界一に返り咲いた。「うれしいというより安心した。世界一になると決めて来たので、達成できて良かった」と胸をなで下ろし、「今回大学にも譲歩してもらって出場を認めてもらった。周りの支えがあっての結果なので、そういった意味でも結果を残せて良かった」と喜びを表した。

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