【朝原宣治氏の目】男子短距離、タイミング合った選手が勝った
「陸上・日本選手権」(27日、ヤンマースタジアム長居)
男子200メートルは小池祐貴(住友電工)が20秒46で初優勝し、同種目での代表権を獲得。100メートルでも代表入りが有力視されているが、日本陸連はリレー優先の方針から両種目の出場を認めておらず、今後本人側と協議する。
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小池選手は早くから飯塚選手をとらえていました。直線に入ってからは、100メートルのときよりも体を大きく使っていました。絶対にこのタイトルを取る、という強い気持ちが見られ、それが走りに表れていました。
100メートルでなかなか調子が上がらず、いつも首をかしげているような小池選手が、インタビューで「勝つっていい」と言っていて。久しぶりに笑顔を見られましたし、よっぽどこのタイトルを取りたかったことでしょう。
今大会に向けて、男子短距離陣は調整が本当に大変だったと思います。心理的負担も相当あったことでしょう。明暗が分かれましたが、タイミングが合った選手が勝ったんだなと。色濃い日本選手権だったと感じました。
短距離の選手が見ているところは五輪の決勝です。今大会、山県選手が決勝でタイムを落としたように、調整がうまくいかなくなるとすぐにタイムは落ちます。残り1カ月、疲労を抜きつつ、万全な状態で臨むために調整していってほしいものです。(2008年北京五輪男子400メートルリレー銀メダリスト、「NOBY T&F CLUB」主宰)