バドミントン協会がスポーツ仲裁機構から異例の離脱 機構側も困惑「極めて遺憾」
国内のスポーツに関する紛争を解決する機関である日本スポーツ仲裁機構は1日、日本バドミントン協会が、同機構の判断に団体が従わなければいけないとする「自動応諾条項」から離脱したことを明らかにした。
これにより、競技者等からのあらゆる不服申し立てに対して、仲裁機構が出した判断に団体側が必ず従う義務はなくなるが、スポーツ庁が推進している「ガバナンスコード」に逆行するともいえる措置で、極めて異例の事態。仲裁機構の山本和彦代表理事は「自動応諾条項をいったん定めた団体が撤回した事例は承知していない。当機構の申し立てに対して、従来の自動応諾状況を撤回することは極めて遺憾と言わざるを得ない」と困惑気味に語った。
仲裁機構によれば、競技を統轄する中央団体が「自動応諾条項」から離脱した例は過去に1件あるものの、すでに復帰している。日本オリンピック委員会(JOC)の加盟団体、準加盟団体、承認団体の66団体のうち60団体は同条項を採用しており、正加盟団体である日本バドミントン協会が離脱するのは極めて異例の事態だ。
バドミントン協会をめぐっては、昨年新設された実業団チームの丸杉BluvicのS/Jリーグ加盟を認めなかったことから、日本スポーツ仲裁機構が今年4月、協会の決定を取り消す判断を下し「協会の決定に合理性がない」と断じた。この件との因果関係は定かではないものの、バドミントン協会は5月の理事会で仲裁機構の判断を自動的に受け入れる「自動応諾条項」の撤廃を全会一致で決定。6月中旬には通知があり、離脱が決まった。バドミントン協会は代替手段として、協会内に「不服審査会」を設けるとしている。
競技団体の適正な運用を目的に、スポーツ庁が2019年に定めた「ガバナンスコード」では、11条に「選手、指導者等との間の紛争の迅速かつ適正な解決に取り組むべきである。(1)NF(国内統括団体)における懲罰や紛争について、日本スポーツ仲裁機構によるスポーツ仲裁を利用できるよう自動応諾条項を定めること」としている。
仲裁機構の関係者は、今回のバドミントン協会の決定について、「広くバドミントンをやっている競技者、指導者(のあらゆる不服申し立ても)もケースバイケースで判断されてしまうので、中央競技団体としてそのような判断が適切なのか」と疑問を投げかけた。