炎鵬、取り直しを“棄権”で不戦敗 激しい突きを耐えるも「脳しんとう」「焦点が定まっていなかった」
「大相撲名古屋場所・2日目」(5日、ドルフィンズアリーナ)
十両で小兵の炎鵬(宮城野)が、脳しんとうで不戦敗となった。貴源治(常盤山)の激しい下からの突きを何発も顔面に浴びたがこらえた。
土俵際、両者がもつれるように土俵を割り、軍配は炎鵬に上がったが、物言い。協議の末、同体で取り直しとなった。
鼻血を流し顔をしかめる炎鵬。近くにいた呼び出しから「脳しんとうが起きている」と審判に伝えられた。
審判が再び協議の末、「危険」と判断。高田川審判長(元関脇安芸乃島)は「炎鵬は脳しんとうを起こしているため貴源治との取組が取れないとみなして貴源治の勝ちといたします」と場内アナウンス。炎鵬は取り直すことができず不戦敗となり、車いすに乗せられ、引き上げた。
取組後、同審判長は「もう一丁と思ったけど、近くにいる人(呼び出し)が『目が回っている』と。あしたもあるし危険と判断した。ぱっと見たら焦点が定まっていなかった。本人は『大丈夫』と言っていたけど、危険なので取らすわけにはいかないから」と、経緯を説明した。
日本相撲協会は1月の初場所で幕下湘南乃海(高田川)が朝玉勢(高砂)と対戦した際、脳しんとうを起こしたことを受け、審判規則を一部改定。「力士の立ち合いが成立する前に相撲が取れる状態ではないと認めた場合には、協議の上で当該力士を不戦敗とすることができる」と、項目を追加した。
先場所、序二段で取り直しが不可能と判断され不戦敗になった取組があったが、十両以上の取組での適用は、今回が初めてとなった。