照ノ富士 自己新12連勝 綱取り大前進!優勝は白鵬と事実上“一騎打ち”
「大相撲名古屋場所・12日目」(15日、ドルフィンズアリーナ)
綱とりに挑む大関照ノ富士が新小結明生を豪快にきめ倒して、初日からの連勝記録を自己新の「12」に伸ばした。八角理事長(元横綱北勝海)らは内容も結果も絶賛し、昇進へまた一歩、前進した。進退場所の横綱白鵬も関脇御嶽海を寄り切りで一蹴し、全勝をキープ。後続に3差がつき、両者の千秋楽での直接対決が確実で優勝の行方は事実上、2人に絞られた。
照ノ富士の“横綱相撲”だった。動きのいい明生に左、右と差されたが慌てない。下半身をどっしり構え、強烈な張り手を見舞って、引っ張り込んだ。外から右腕をきめ上げると相手はもん絶。最後は豪快に投げ捨てた。
ついに自己新の12連勝。「落ち着いて取れて良かった。一日一番の気持ちでやっているだけ。(12連勝も)特別な思いはない」と自信満々に言い切った。
ともに初土俵は2011年のほぼ同期生。4歳下の明生にとっては目標の存在だった。照ノ富士も「一緒に稽古して励まし合ってきた一人。上で戦えるのはいいこと」と満足顔。対戦は4戦全勝と今回も高い壁となった。
序二段まで落ちどん底から復活した不屈の魂。爆弾を抱える両膝も終盤になっても安定している。12日間、内容、結果とも満点だ。
八角理事長(元横綱北勝海)は「余裕がある。前に圧力をかけているから慌てない。よく見えている」と絶賛。土俵下の高田川審判長(元関脇安芸乃島)も「盤石で力強い」と、文句は一切ない。
12勝は連覇した春、夏場所と同じ勝ち星。昇進ラインは「(優勝に)準ずる成績」とされる。昇進へ大きく前進はしたが、まだ何も決まっていない。人生をかける運命の3連戦は大関正代、天敵の高安、そして“ラスボス”白鵬が待ち受ける。
横綱と大関の12日目終えて全勝は平成以降、過去6例あり、優勝は横綱が4回とリード。優勝の行方は両雄に絞られ千秋楽まで一歩も譲れぬ死闘が続く。
「一生懸命やってきたことを信じてやるだけ。しっかり残り3日間、頑張りたい」。満身創痍(そうい)の体でラストスパートだ。