張本勲氏「言葉足らずで反省」TBSサンモニが謝罪文 ボクシング連盟「真摯な対応」

 東京五輪・女子ボクシング・フェザー級代表の入江聖奈が日本女子選手として競技初となる金メダルを獲得したことについて、野球解説者の張本勲氏が競技と女性を揶揄したと受け取られる発言をしたことを受け抗議文を提出していた日本ボクシング連盟が12日、張本氏が出演しているTBS系「サンデーモーニング」からの謝罪文を受け取ったと発表した。

 番組のスポーツコーナーで“ご意見番”として出演している張本氏は、8日の放送回で「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね、こんな競技好きな人がいるんだ。それにしても金だから『あっぱれ』あげてください」と発言。連盟は10日付で抗議文を提出していた。

 TBS側からの文章は制作プロデューサー金富隆氏の名前で連盟に送付された。張本氏の談話も掲載されており、「私は元々ボクシングが大好きで、白井義男さんやファイティング原田さんが世界チャンピオンになった時に、飛び上がって喜びました。今回、入江選手が金メダルを取った時も、飛び上がって喜んでいました。今回の私の発言は言葉が足りませんでした。入江選手の快挙を称えると共に、自分も金メダルを取れるのではと思って、ボクシングをやる女性が増えてほしいということを本当は言いたかったのです。言葉足らずで反省しています」などとする、反省の意を示している。

 金富プロデューサーは、入江の金メダルについて、「日本中が沸き立つ快挙であり、この目覚ましい成果に対し『あっぱれ』との賛辞を贈り、称賛することが本意でした」と説明。その上で、「しかしながら、張本氏の発言の中には、ご指摘のように『女性及びボクシング競技を蔑視した』と受け取られかねない部分があり、これについては本来であれば番組内で対応すべきでした。当番組として、不快に思われたボクシング関係者や視聴者の皆さまに誠に申し訳なく存じます」と謝罪した。

 日本ボクシング連盟は10日付でTBS側に送った抗議文で「遺憾の意」を示した上で、安全面に留意していること、選手の人間性の素晴らしさを強調し、「ボクシング競技が単純な、暴力的な殴り合いではないこと、技術を駆使した競技であることをご理解いただき、また女性だからそんな競技に取り組むべきではないという、多様性を否定するような番組内でのご発言を、視聴者の皆様に対して、訂正をしていただきたく、文書を発させて頂きました」とする抗議文をTBSに送付していた。

 同プロデューサーは「コメンテーターの発言も含め、番組の姿勢が『多様性を否定する』かのように受け止められることのないよう、一層留意しながら番組作りを進めて参ります」としている。また、「『女子競技は男子競技以上に、安全面に配慮されている』との貴連盟のお考えについて理解を深めながら、今後ともボクシング競技をはじめとするスポーツの素晴らしさを伝えて参りたいと存じます」と今後の報道姿勢についても示している。

 連盟側はTBS側からの謝罪文を受理。「内容を十分に汲み取った、真摯な対応をして頂いたと思います」と反応している。

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