東京パラリンピック開幕 少しでも明るい未来へ コロナ禍拡大の中
「東京パラリンピック・開会式」(24日、国立競技場)
東京五輪から2週間の時を経て、東京パラリンピックが開幕した。開会式は無観客の国立競技場で行われた。大会には161の国・地域と難民選手団を合わせ、史上最多4403人の選手が参加。日本選手団は史上最多の254人となる。日本選手団主将は車いすテニスの国枝慎吾(37)=ユニクロ、副主将はゴールボール女子の浦田理恵(44)=総合メディカル=が務める。大会は9月5日まで13日間行われ、22競技で539種目が実施される。
真夏の夜にはじける274発の花火が、夢舞台の始まりを告げた。開会式は新型コロナウイルス感染拡大により、無観客開催。粛々とした雰囲気の中、史上最多4403人の選手が参加する東京パラリンピックの幕が上がった。
今大会は障害の有無など多様性を認め合う「共生」を目指す。開会式のテーマは「WE HAVE WINGS(私たちには翼がある)」。追い風ばかりではない人生の中でも、パラリンピックに出場するアスリートはどの風も人生の力に変えることができ、勇気を出して「翼」を広げることで、思わぬ場所に到達できるという意味が込められた。
開会式では、飛行場に見立てられた会場に、タレントのはるな愛や滝川クリステルのいとこで俳優の滝川英治が登場し、ダンスなどパフォーマンスを披露。終盤ではギタリストの布袋寅泰が「TSUBASA」「HIKARI」という書き下ろしの2曲を演奏し盛り上げた。
式には菅義偉首相や東京都の小池百合子知事らも出席し、大会名誉総裁の天皇陛下が開会を宣言された。47都道府県とパラ発祥の地とされる英国ストーク・マンデビルで採火した炎を一つにした聖火が、車いすテニス女子の上地結衣、ボッチャ男子の内田峻介、パラパワーリフティング女子の森崎可林によって聖火台にともされると、1008発の花火が夜空に上がった。
日本選手団の主将は車いすテニス男子シングルスで世界ランク1位の国枝が務める。日本が目標に掲げる史上最多の金メダル20個へ、日本パラリンピック協会を通じて「一人一人の選手が、勇気と覚悟を持って、この世界最高峰の場で全力を尽くすと思います」とコメント。式では副主将の浦田らと「パラスポーツを通じて世界をよりよい社会にするために参加することを誓います」と宣誓の大役を果たした。
東京五輪が8日に閉幕してから2週間。新型コロナウイルスの新規感染者数は急増し、東京都に発令された緊急事態宣言はパラリンピック閉幕後の9月12日まで延長された。緊急事態宣言の対象地域も13都府県に拡大され、パラリンピック開催に国民感情は賛否両論だ。さらにパラ選手は基礎疾患を抱える選手が多く、重症化のリスクも懸念される。先行き不透明な中、始まった今夏2度目の夢舞台。どうか、少しでも明るい未来へ-。世界中の願いは、国立競技場から飛び立った。