競泳・山口尚秀 世界新で金 スタートから全開!接戦制した「あぁ、金メダルとれた」

 「東京パラリンピック・競泳」(29日、東京アクアティクスセンター)

 男子100メートル平泳ぎ(知的障害)で、初出場の山口尚秀(20)=四国ガス=が1分3秒77の世界新記録で制した。自身の世界記録を0秒23更新。日本競泳陣で、知的障害クラスの金メダルは2012年ロンドン大会の同種目の田中康大以来2大会ぶりとなった。

 初の大舞台で山口が圧巻の泳ぎを見せた。スタートから前に出ると、2位とのわずかな差を最後まで維持して1分3秒77の世界新で初制覇。「あぁ、金メダルがとれた。3秒台が出せた」。フィニッシュ後はタイムとともに「WR」が表示された電光掲示板をじっと見つめた。

 3歳で知的障害を伴う自閉症と診断された。水泳には小学4年生から趣味で触れていたが、本格的に競技に取り組み始めたのは高校2年。17年の日本知的障害者選手権に出場したことがきっかけで、地元のスイミングスクールに通い始めた。厳しい練習に耐えられずにトイレにこもることもあったが、勝ちたいという一心で練習に打ち込んだ。

 頭角を現すのは早かった。19年2月のワールドシリーズメルボルン大会で国際大会デビューすると、同年9月の世界選手権で当時の世界記録を更新して初優勝。本格的に競技を始めてから約2年でトップへと上り詰めた。

 急成長の要因に「知的障害のS14クラスという肩書を通じて各障害のクラスの選手、各国の選手と交流すること、そしてそれぞれの課題点を共有し合えるところが成長につながっていった」ことを挙げた。全ての経験を成長の糧にする。

 表彰式では元SMAPのメンバーで、国際パラリンピック委員会特別親善大使を務める稲垣吾郎(47)から金メダルを受け取った。「世界記録保持者」だけでなく「パラリンピック金メダリスト」の肩書も加わり、「今後大会に出るときでも、このレースのようなパフォーマンスを出していければ」と自覚も芽生えた。自国開催のパラリンピックという何よりも大きな舞台での経験を生かし、さらなる成長曲線を描く。

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