照ノ富士「尊敬される横綱になりたい」先輩白鵬には「勝って恩返しを」
日本相撲協会は30日、秋場所(9月12日初日、両国国技館)の番付を発表した。第73代横綱に昇進した照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=が西正位の横綱に就き、都内でオンライン会見した。
番付表の横綱に自身のしこ名が刻まれた。「場所が近づいたなと思う。(大関時代までと)特に違うものはないけど、いつもより責任感を持って行動しないといけないと思っている」と、気持ちを引き締めた。
両膝負傷に加え、内臓疾患で大関から序二段へ降下。そこから奇跡の復活を果たし、目指し続けた角界の頂点にたどりついた。「必死に頑張ってきた日々を神様が見てくれていたのかなと思う」と、かみしめた。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)を始め、おかみさん、後援者、部屋の先輩、後輩に支えられた。「周りの環境が良かった。やっとここまで来られた。精神から体から、準備をできる環境を整えてくれた。あとは自分が一生懸命やるだけだった」と、周囲への感謝を口にした。
先輩横綱でもある師匠からは「責任を持って行動しないといけない」、「軽い気持ちで物事を進まないように」と、地位の重みを説かれた。
横綱白鵬(36)=宮城野=と東西横綱で並ぶ。白鵬の父が柔道の師匠で、角界入りにもつながった縁もある。
恩あるモンゴルの大先輩に先場所千秋楽、全勝決戦で敗れた。「角界に入る道を切り開いてくれた先輩。勝って恩返しをしたいと思った」と特別な思いで臨んでいた。
恩返しは横綱同士で争う秋場所に持ち越し。「この横綱という地位を目標に頑張ってきた。やっとなれた。相撲を盛り上げるように頑張っていく」と、自覚をにじませた。
横綱昇進伝達式で口にした「不動心」、「品格」を心に刻み、自身の思う横綱道を歩む。「一つのことしかできない。下(序二段)に落ちて上がる時も一日一日、必死にやってきた気持ちは変わらない。その気持ちを伝えるための『不動心』。これからも変わらずやっていく。『品格』は人それぞれ違う。こういうものというのはない。自分の生き方で証明していきたい。これからの自分が自分の考えている生き方と思っていただければいい。土俵の上でも下でもみんなに存在感を(示し)、尊敬される横綱になりたいと思っている」と決意を込めた。
8月4日に日本国籍を取得。師匠の名前をもらい、「杉野森正山」と日本名で新横綱場所に臨む。「山」の一文字に関しては「ずっとお世話になっている方、照ノ富士春雄の下の名前をいただいた方の一文字をいただいた」と、後援者の名前にちなんだものだと明かした。
秋場所まで2週間。「自分のできることを精いっぱい準備して土俵の上で出していけばいい。その姿を見てもらいたい」と、意気込んだ。