パラ選手村内バス事故、接触してない可能性も?IPCは静観「車両に非ないかも」
東京五輪・パラリンピック組織委員会と国際パラリンピック委員会(IPC)は30日、都内で会見を行った。26日に発生した東京パラリンピック選手村を巡回する自動運転バスと視覚障害を持つ柔道選手の接触事故について、改めて謝罪。また、29日午前に警察による現場検証が行われたことを明かした。
事故後、組織委はバスを提供しているトヨタ自動車と連携して事実確認と原因の究明を行っている。また、組織委の武藤敏郎事務総長は、警察による現場検証が実施されたことを明かしたことを明かし「詳細はまだ確認できないが、トヨタ自動車と緊密に連携しながら、警察とも指導を得ながら安全対策を講じたい」と話した。
また、IPCのクレイグ・スペンス広報部長は、事故の目撃者などからも報告を受けてることを踏まえた上で、「ちょうど車が通過するときに、アスリートが車道でつまずいたということもあるかもしれない」と言及。「今結論を出すことは不可能だが、車両に非はなかったかもしれない。警察からの報告を待ちたい」と、あらゆる可能性を考慮して静観する考えを示した。
事故に遭った柔道男子81キロ級の北薗新光(30)は視野狭窄(きょうさく)の障害があった。26日午後2時頃、選手村内の横断歩道を渡ろうとしていたところ、交差点を右折中の自動運転バス「e-Palette」と接触し、転倒して頭部などを負傷したとみられる。診察を受けたところ外傷はなく、MRIでの精密検査でも異常はなかった。ただ、その後本人が体調不良を訴えたため、ドクターが脳振とうの可能性があると考慮し、大事を取って28日の試合は欠場した。
日本選手団を統括する日本パラリンピック委員会(JPC)や柔道代表の遠藤義安監督などによれば、北薗自身は視覚に障害があることもあり、「車両に接触したかどうかはわからない」と話しているという。ただ、転倒したことは事実で、頭痛などもあって夢舞台の畳に上がることはかなわなかった。安静にして療養していたが、30日正午までにチームと共に選手村を退去する。