杉村英孝が金 リオ王者完封!ボッチャ日本初快挙「最高の舞台で戦うことできて感謝」
「東京パラリンピック・ポッチャ個人(脳性まひBC2)」(1日、有明体操競技場)
ボッチャ個人の脳性まひBC2で杉村英孝(39)=伊豆介護センター=が決勝でタイ選手を破り、この競技で日本初の金メダルを獲得した。個人のメダルも初めて。杉村は前回大会でチームの2位に続く表彰台。
杉村の左手から放たれるボールが、目標球の「ジャックボール」近くにスイスイと吸い込まれていく。前回王者との頂上決戦でも正確無比なスローをコツコツと積み重ね、第1エンドからいきなり2-0と優勢。試合が進むにつれて明らかに焦りの色が濃くなる相手に対し、「自分がやってきたことを出すだけ」という杉村の冷静さはどんどん深まった。
最後のショットを前に勝負をつけて5-0という圧巻の完封劇。自国の夢舞台で日本初の金メダルという快挙を成し遂げた。目にはじんわりと涙を浮かべ「最高の舞台で戦うことができて感謝したいし、金メダルを取ることができて本当に良かった」とかみしめた。
先天性の脳性まひで小学校から高校まで静岡市内の特別支援学校に通った。車いすサッカーなどをしていたが、高校3年時に施設でビデオを見せてもらったことをきっかけにボッチャを開始。「仲間や友達と集まるための趣味だったが、社会参加につながるきっかけを与えてもらった」。
ボッチャという競技を世間に知らしめた第一人者は「テレビで見た方が『すごいな』とか『面白い』とか感じてくれて、障害がある人もない人も関係なく(興味を持つ)きっかけが生まれてくれたらうれしい」。金メダル以上に輝く笑顔で晴れやかに語った。