ゴールボール女子が銅メダル 欠端“魔球”で3得点 元プロ野球投手の父の教え胸に
「東京パラリンピック・ゴールボール女子3位決定戦」(3日、幕張メッセCホール)
女子3位決定戦で、日本はブラジルに6-1で快勝し、銅メダルを獲得した。2004年アテネ大会の銅、12年ロンドン大会の金に続く2大会ぶり3個目のメダル。序盤に欠端瑛子(28)=セガサミーホールディングス=が2点を決めて勢いに乗り、その後もリードを広げて1失点でしのいだ。
3得点を挙げ、銅メダルを呼び込んだのがエースの欠端だ。遠心力でボール内の鈴の音を鳴りにくくして意表を突く「回転投げ」が武器。かつて“魔球”を投げろと指導したのはプロ野球横浜大洋ホエールズの投手だった父光則さん(58)。「『よくやった』とねぎらってあげたい」と喜んだ。
横浜市出身。1993年2月、3人目の子どもとして生まれた長女だった。先天性白皮症で、弱視。紫外線に弱く、外で遊ぶことは少なかった。盲学校に通った高校時代、友人に「ゴールボールの大会に一緒に出よう」と誘われた。
幼少期に父は現役を引退。「魔球を投げろ。クーッと曲がる魔球を」「下半身の強さがないとボールに力が伝わらないぞ」。広場に行って投球時の重心の移し方を伝授した。
美術大学に進学し、在学中の12年ロンドン大会は金メダル。主力として臨んだ前回リオ大会は準々決勝で敗退した。この日、先制点を含む3得点の大活躍。「思うようなボールが投げられてよかった」。試合を終えたエースの目は、うれし涙であふれていた。