1球ごとにSNS沸騰 ボッチャ待望の注目度上昇に日本監督も感慨「思い伝わった」
「東京パラリンピック・ボッチャ」(4日、有明体操競技場)
ペア(運動機能障害・脳性まひBC3)の決勝が行われ、日本(河本圭亮、高橋和樹、田中恵子)はリオデジャネイロ大会銀メダルの韓国にタイブレークの末に惜敗したが、同種目初の銀メダルを獲得した。
最も障害の程度が重く、アシスタントのサポートを受けられる「BC3」で日本勢初のメダルを手にした。田中は「うれしくて涙が出た」と喜び、河本は「掛けた瞬間、すごく重かった。重量もそうだし、色んな人の協力でもらえたメダル」と実感を込めた。
ボッチャは、白いジャックボール(目標球)をめがけて両者が6球ずつボールを投げ合い、どれだけ近づけるかで得点を競う至極シンプルな競技。日本勢は16年リオデジャネイロ大会での団体銀メダルに続き、自国開催の今大会は個人(BC2)の杉村英孝の金メダル、団体(BC2)の銅メダル、ペアの銀メダルと3個獲得し、大躍進した。
試合は放映され、SNSでは「ボッチャ」や、ボールを寄せる度にテレビ解説者の新井大基さんが連呼する「ビタビタ」がトレンドワードになるなど、注目度が急上昇。日本協会の公式ツイッターは、フォロワーが大会前から倍増して3400人を超え、日本代表の村上光輝監督は「(知り合いからの)LINEが鳴りやまない」とうれしい悲鳴をあげた。
選手も「いい試合をすればボッチャは面白いと思ってもらえる」とモチベーションにしていたというが、村上監督は「1球に対して40件くらいババっと(瞬間的に投稿が)あがる。それくらい選手の思いが色んな人に伝わったのかな」と、積年の願いがかなって興奮を隠せない様子。この日、団体3位決定戦を見届けた後は涙が止まらなくなったといい、「なぜだかわからないが、選手がよく頑張ったなと」と感慨にふけった。
さらなる普及に向けて、村上監督は「杉村がよく『百聞は“一投”にしかず』と言っているが、(ボッチャは)見るのも面白いけど、やってみて楽しさが倍わかる。障害に関係なく、スポーツとして駆け引きが面白いので、体験を通しても知ってもらいたい」と意欲。ペア最年長41歳の高橋は「多くの方に見ていただいたことがうれしい。ボッチャを見て、重度障害者でも『自分もやってみようかな』と思ってくれたらうれしい」と、競技人口アップに期待を込めた。