米国と死闘「金メダルはすぐそこに」車いすバスケ12戦士 日本に示した希望の40分

 銀メダルを受け取り、笑顔を見せる藤本怜央(撮影・伊藤笙子)
車いすバスケットボール男子決勝、パスを送る藤本怜央=有明アリーナ(撮影・伊藤笙子)
 試合後、赤石竜我(右)を慰める藤本怜央(撮影・伊藤笙子)
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 「東京パラリンピック・車いすバスケットボール男子・決勝、日本60-64米国」(5日、有明アリーナ)

 初の決勝進出を果たした日本は16年リオデジャネイロ大会金メダルのバスケ大国・米国に敗れ、悔しい銀メダルとなった。それでも日本車いすバスケ史上初のメダル獲得を果たした。

 あと一歩だった。米国を追い詰めながらも底力に屈し、敗戦のブザーを聞いた。選手たちの瞳が赤く染まったのは、なによりも悔しかったから。5大会連続出場の大黒柱、藤本怜央は「金メダルはすぐそこにあった。4点差で逃したのは悔しかった」。そして、付け加えた。「悔しさを噛みしめながらブザーを聞けた。日本がもっともっと強くなると感じることができた」-。

 第1Q、金メダルへ、藤本をチームを勢いづけた。開始早々に3ポイントを決めて先制すると、その後も着実にシュートを沈め、第1Qだけで9得点。米国も反撃してきたが、藤本が「守備で相手が壊れていくバスケ。これだけ守備に変化を持てるチームはない」と話す世界屈指の変幻自在の守備で粘り、互角の攻防を繰り広げた。

 第3Qを終えて、46-45。最終Qも激しい点の取り合いから、中盤に鳥海連志がゴール下で転倒しながらシュートをねじ込むなど奮闘し、一時5点リードを奪ったが、米国の意地の前に、4本連続でシュートを決められて逆転を許し、頂点には届かなかった。

 今大会を集大成と位置付けてきた藤本。「区切りにはなったと思う」と話した一方で、「次のステージプレゼンスに進むのか、世界一を目指すところまできたので、もう1度チャレンジするのか。このスポーツが大好きだし、日本の皆さんと一緒に、世界一を獲る瞬間を迎えたい思いもある。自分の気持ちに正直になって決めたい」と、話した。

 日本がバスケでアメリカに勝つ-。車いすを駆る12人の戦士たちが描いたのは、夢物語が手の届く現実としてあることを教えてくれた希望の40分間だった。

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