国枝2連覇 疲労ピークもパラ王者の意地 「2週間くらいは何もしたくない」
「テニス・全米オープン・車いすの部」(12日、ニューヨーク)
男子シングルス決勝は東京パラリンピック金メダルで第1シードの国枝慎吾(37)=ユニクロ=が第2シードのアルフィー・ヒューエット(英国)を6-1、6-4で下し、2年連続8度目の優勝を飾った。女子シングルス決勝は東京パラ銀メダルで第2シードの上地結衣(27)=三井住友銀行=がパラ金メダルで第1シードのディーデ・デフロート(オランダ)に3-6、2-6で敗れ、4年連続で準優勝。デフロートは同一年に四大大会とパラを全て制覇する「年間ゴールデンスラム」を成し遂げた。
東京パラリンピック後、約1週間で決勝に臨んだ国枝の疲労はピークに達していた。「コートに入る30分前までは目をつぶれば寝てしまうくらい回復できていなかった」。突き動かしたのは金メダリストとしての意地。「コートに立った瞬間にあと1試合戦えると思った」と精神力が支えた。
ヒューエットには全豪オープンから3連敗中だった。第2セットは第3ゲームでブレークポイントを2度しのぐなど勝負どころで踏ん張った。
四大大会は国枝にとっての「主戦場」。今年初の栄冠となり「1年に4回あるタイトルを取るためにテニスをしている。パラリンピックが終わればその日常が続くし、そこはぶれない」とプロアスリートとしての自負がにじんだ。
コート上で完全燃焼し、夏を終え「2週間くらいは何もしたくない。日本に帰って、この幸せを味わいたい」。王者だけに許された勝利の余韻に浸る。