柔道・井上康生監督が退任会見「9年間は貴重な財産」後任の鈴木ジャパンにエール
任期満了により今月限りで退任する柔道男子日本代表の井上康生監督(43)が30日、オンラインで報告会見を行った。9年間の監督生活を「貴重な財産」と振り返りつつ、「節目ではあるが、終わりという言葉は当てはまらない。自分の人生においても過程に過ぎない。まだまだ頑張ろうという感じ」と新たな立場で柔道界に尽力する決意を表明。また、後任の鈴木桂治監督(41)による新体制について「私にはないたくさんの力を持っている。鈴木カラーを前面に出してもらいたい」とエールを送った。
井上監督は、日本男子が史上初の金メダル0個に終わった12年ロンドン五輪後、再建を託される形で34歳の若さで就任。16年リオデジャネイロ五輪では金2個を含む全7階級でメダルを獲得。今夏の東京五輪では史上最多の金メダル5個に輝くなど、競技発祥国の威信を取り戻した。
この日で代表監督としては最後となったが、感傷的なムードはなく、「通過点に過ぎない。貴重な経験を次のステージでどう生かすかに価値がある」と晴れやかに語った井上氏。「(9年間は)決していいことばかりではなく、失敗や挫折も含めて貴重な経験だった。これをどう次に生かすか、未来に生かすも殺すも自分次第。得たものをアップデートさせていきながら活用していきたい」と力を込めた。
今後、強化委員会では男子の副委員長に就任。また、全柔連内に新設される「ブランディング戦略推進特別委員会」では委員長として、より広い視野で柔道普及のための新たな価値の創造・発信を担う。
強化面では最重量級の復活という宿題を残し、柔道界全体では競技人口減少という大きな課題が横たわっているだけに、「(監督を退任して)ホッとしている時間はないし、柔道界はさまざまなことに取り組んでいかないといけない状況。微々たるものでも私の力を注いでいきたい」と新たに決意を示した。