【デイリースポーツ歴代担当記者が振り返る白鵬】ラストファイトで照ノ富士に横綱道伝授

 史上最多45回優勝を誇る大相撲の第69代横綱白鵬(36)=本名白鵬翔、宮城野部屋=が1日、両国国技館で引退と年寄「間垣」襲名の会見を開いた。デイリースポーツの相撲担当記者が、白鵬を振り返った。

  ◇  ◇

 初めて見る白鵬の姿だった。名古屋場所千秋楽、結びの一番で照ノ富士との全勝決戦に臨む前、白鵬は土俵に右手を添え、額を付け、数秒、目を閉じた。

 同じような光景を思い出した。2018年9月、引退相撲で元横綱日馬富士も土俵に感謝のキスをした。

 モンゴル出身の関係者に聞くと、「白鵬は今までありがとうの思いを込めた。あれはそういうことだよ」と話していた。会見で白鵬も話したように、別れを告げたのだった。

 惜別の相撲はすさまじかった。かち上げと張り手で襲撃し、復活優勝の瞬間、ガッツポーズに雄たけび…。白鵬は史上最大の帝国を築いたチンギス・ハンの末えいという。騎馬民族の本能むき出しの姿なのだろう。暴君の“らしい”ラストファイトではあった。

 最後の相手となった照ノ富士に最強の横綱道を伝授。一方で“品格”はこの上ない反面教師になったことだろう。(デイリースポーツ・荒木司)

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