成松大介が引退会見「まったく未練はない」アマチュアボクシング界の改革にも尽力
アマチュアボクシング男子でリオデジャネイロ、東京の五輪2大会に出場し、東京五輪後に現役引退を表明した成松大介(31)=自衛隊=が20日、オンラインで記者会見を行った。東京五輪はライト級1回戦で完勝したが、額の骨折のため2回戦を棄権した。引退の決断は入院中の病室。「高いレベルでのコンディション維持が難しくなり、この先の大会で自分のレベルを上げることができないと判断した」と説明した。
東京五輪では「トーナメント表が出た時に準決勝、銅メダルまでいけるという気持ちだった」と手応えを感じていた。ケガで棄権という不運な最後となったが「不思議と悔しい気持ちはなかった。1回戦で自分の力が出せた。先には進めなかったがすっきりして悔いの残る試合じゃなかったので結果を受け入れた」と16年の競技人生で完全燃焼した。今後は未定ながら「ボクシングに関わっていきたい」と指導者、運営、普及活動など視野を広げるという。
東農大から自衛隊へ進み、全日本選手権は計9度優勝。18年アジア大会ではライトウエルター級で銅メダルに輝いた。日本ボクシング連盟の選手会長としての役割を担う「アスリート委員長」として選手の精神的支柱も担った。
「今まであまり取材機会はなかったが、広報活動を充実させてほしいと言ったことを(連盟が)反映させてくれた。また、今年の全日本選手権は(地方開催ではなく)東京都である。これも意見として言わせていただいた。前と比べると非常に変わったと実感している」とさまざまな改革は実を結んだ。
病室で見た東京五輪では、仲間が金メダル1つ、銅メダル2つの計3つを獲得した。「全員がすばらしい試合をやってくれて誇らしかった。同じ東京五輪代表選手として、みんなよくやったと心から思っています」と、最後は自分のことのように胸を張った。